手遅れ ページ30
翔太side
Aが出て行ってからソワソワが止まらない俺達。
時田さんは、またもや視察とか言って現場にやってきた早川さんに呼ばれて、数分前に楽屋を出ていった。
康「A、ホンマに大丈夫かな...」
蓮「なんか怖いよね...」
阿「ODとかリスカした時と雰囲気が似ているしね。」
舘「終わったらこっちの楽屋に戻ってくるよね？」
照「そのはずだけど...」
みんな不安でいっぱいで
意味もなく、楽屋の中を行ったり来たりしている。
かくいう俺も、貧乏揺すりが止まらない。
佐「あと5分くらいか...」
時計を見た佐久間が心配そうに呟いた時だった。
"トントン"
"ガチャ"
返事をする前に開け放たれた楽屋の扉に驚いて振り返ると、そこにいたのはさっきまでパフォーマンスをしていたはずの永瀬と神宮寺。
深「えっ、どうしたの？」
照「なんかあった？」
神宮寺「Aちゃんが過呼吸で！」
舘「...は？過呼吸？」
永瀬「ボロボロ泣いていて...」
その言葉を聞いた瞬間、身体が勝手に動き出した。
ドアの前にいる永瀬と神宮寺を押し退けて
廊下に飛び出し、ステージ横に向かって走る。
深「俺も行く！」
後ろからふっかの声と共に
ドタドタと足音が聞こえてきた。
過呼吸...
それに泣いていたってどういうことだ。
また早川さんに何か言われたのか？
それともスタッフさん？
共演者の人？
今のAは、涙が勝手に出てきてしまうくらい
不安定な精神状態。
その上、仕事が立て込んでほとんど休みも取れていないし、何よりもともと不安定になりやすい誕生日間近の時期。
何が起こってもおかしくなかった。
.
.
.
.
ステージ横に駆け込むと
目に入ったのはスタッフさんに誘導されて
ステージに歩いていくAの後ろ姿。
岸「あ、翔太くん。深澤くん。」
『岸、Aは？』
岸「俺らがステージ横に戻ってきた時には
すでに過呼吸を起こしていて...
少し前にようやく落ち着いたんですけど
SnowManの名前に泥を塗るわけにはいかないって言って、ステージに行っちゃって...」
深「何やってんだよ...」
岸「すみません。止めたんですけど...」
深「え？
あぁ、ごめん。岸に言ったんじゃないから。」
ふっか、分かるよ。俺も同じ気持ちだから。
どうして自分を犠牲にしてまでステージに立つんだよ...
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作者名：みるくてぃー
| 作成日時：2021年10月28日 19時
