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照side
Aに頼まれて、振りの確認にきたものの
完璧に踊るAに指導することなんてない。
それでも何度も振り付けを繰り返すのは
心が不安でいっぱいだからなんだと思う。
"トントン"
阿「迎えにきたよ〜」
康「もうすぐリハやで！」
なんて阿部と康二が迎えにきた頃には
振り確認を始めてから30分以上が経っていた。
『よし、戻ろうか。』
「あと1回だけ...」
『十分に踊れているじゃん。
少し休憩して、リハに備えよう？』
そう言うと、渋々ながらも頷くA。
康二がAに引っ付いていったのを横目に
楽屋に向かって歩き出すと、苦笑いを浮かべる阿部が
隣に並んできた。
阿「やっぱり戻ってこなかったか。」
『来てくれて助かった。
完璧に踊れているのに、不安だって言い続けてて...』
阿「何がそんなに不安なんだろう...」
俺らの後ろで、康二の控えめな声が聞こえる。
康「...薬は大丈夫？」
「ん？薬？」
康「ほら。この間...」
「あ、あぁ...大丈夫。
あの時は疲れていただけみたいだから。
心配かけてごめんね。」
康「それならええんやけど...」
思わず阿部と目を合わせた。
疲れていただけでそんなことするはずない。
絶対に何か隠している。
それなのに核心を得られない感じは
どこか気持ち悪くて仕方なかった。
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異変が起きたのはリハーサルが終わった後の待ち時間
阿「A...？」
阿部の声に振り返ると、俯き肩を震わせるA。
思わず目を合わせた俺達を見て
ふっかが、Aの顔を覗き込むように隣に立つ。
深「急にきちゃった？」
「ん...」
深「大丈夫、大丈夫。」
蓮「ふっかさん、これ。」
深「お、ありがとう。」
目黒から受け取ったタオルで
Aの涙を拭ってやるふっかの表情は
心配の色に染まっていた。
ラウ「...時田さん、呼んでくる。」
康「俺も行く。」
ラウールと康二が慌ただしく出ていき
楽屋にまた静寂が戻る。
「ごめん..っ...何でもないのに...」
深「ん。ちょっと疲れちゃっているだけだもんね。」
「もう分かんないよ..っ...」
深「一旦、泣いてスッキリしようか。
そしたら気持ちもリセットするかもしれないし。」
ふっかが頭を撫でると
嗚咽を漏らして泣き始めたA。
少しでも頼ってくれたことに、柄にもなく安心した。
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作者名：みるくてぃー
| 作成日時：2021年10月28日 19時
