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始まる時のクリック音、伴奏、メロディー


何一つ正常に聴こえなくて
自分がどこを歌っているのか分からなくなった。




イヤモニを押しつけるけど全く音が聴こえない。



その様子を見ていたスタッフさんが
耳を指した後、手でバツ印をつくる。




あ、これ機材トラブルだってすぐに察した。




いつもだったら、なんてことないように繕えるのに
今日はあんまり上手くいかなくて
途中でまた勝手に涙が出てきそうだった。





せっかく出演させてもらっているのに
満足のいくパフォーマンスが出来なくてごめんなさい。



ファンの人に申し訳なくて
頭を下げたまま、涙が溢れた。





スタッフ「放送終了です。」




その声が聞こえた直後、背中を摩られる。





時田「大丈夫。ちゃんと出来ていたよ。」




『ダメだった...ちゃんと出来なかった...』




時田「ちゃんと伝わったよ。だから大丈夫。」




スタッフ「雪白さん、すみませんでした。
耳とか大丈夫ですか?」





遠慮がちに声をかけてくれるスタッフさんに
時田さんが「大丈夫です。」と言ってくれた。






時田「よく頑張れていたよ。すごいよ。」




『ごめんなさい..っ..』




時田「なんで謝るの笑
よし、楽屋に戻って着替えて帰ろう。」






優しい時田さんと一緒に楽屋に戻る途中...





『時田さん、今日早川さんが来てた...』




時田「...うん。知ってる。」




『会いたくないなぁ...』




時田「...俺もいるし、メンバーもいるから。」




『うん...』





"ガチャ"



『ただいま...』



ラウ「Aちゃん!」





すぐさま駆け寄って来てくれるラウールの後ろには
心配そうにこちらを見つめるメンバーの姿。




そんな顔をさせて、ごめんなさい。





深「A、お疲れ!」




康「よっしゃ、着替えてk...」





"ガチャ"




早川「雪白!!
お前なんなんだよ、さっきのパフォーマンス!!

あ?舐めてんのか!?」




『...っ..』




時田「っ!」




早川「なんなんだよ!そんなにやる気ないのか!?
売り上げを出せない奴はいらないって、この間言ったよな?お前、マジでいい加減にしろよ!!!!」





時が止まった気がした。



あまりに不意打ちで、何も言葉が出てこなかった。





早川「おいっ!聞いてんのか!?」





早川さんの手が私の胸元を掴み、絞め上げられる。




『ぐっ...』




時田「っ!!おい!やめろ!!」




照「お前!!いい加減にしろよ!」

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2021年10月28日 19時

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