10人目は頑張り屋さん21

★梅雨の時期は ページ29

阿部side



『A、痛いでしょ？』



「...ちょっとだけ。」



ラウ「だから、勉強やめなって言っているじゃん。」



「でも...」




ラウ「頭痛いのに続けたって覚えられないじゃん。
それに、この後だって公演があるんだよ？
ちゃんと分かってる？」




「.......」




不満そうなAだけど
仕事のことを持ち出されたら抵抗なんてするはずなく
大人しく教科書を閉じた。






梅雨の時期、ただでさえ偏頭痛持ちが多いSnowManは、気圧の変化に耐えられず、日替わりで誰かしらが
ぶっ倒れているような感じになっている。




Aは偏頭痛持ちではないらしいんだけど...



今朝は楽屋の電気が
いつもの白光ではなくオレンジ色の豆電球。



舞台でのサウンドチェック中も
耳を塞いで、顔を顰めていた。




その姿は、偏頭痛が出ている時の
メンバーの様子と瓜二つ。




それなのに、歌舞伎にドラマにと大忙しのAは
まもなく模試があるらしく、僅かな隙間時間を惜しんでは教科書を開いていた。




最初こそ平気なふりをしていたAだけど
時間が経つにつれて、何度も目をぎゅっと瞑ったり、
頭を軽く叩く様子が目立つようになって...


到底大丈夫そうには見えなかった。




だけどAは意地でも勉強をやめないだろうから
俺とラウールが強制的に止めにきたんだけどね。





『薬は飲んだ？』



「飲んだよ。」



ラウ「やっぱり痛かったんじゃん。」




なんて不貞腐れたように言うラウールに
苦笑いする俺とA。





ラウ「部屋を暗くするから少し寝たほうがいいよ。」



「開演まで、あと何分？」



ラウ「あと1時間30分あるから大丈夫。」




「ん。起こしてね。」






そういうと、畳に倒れ込んだA。




ラウ「...やっぱり限界なんじゃん。」






すぐに眠りについたAを見て
不満そうに言ったラウールの肩を叩いてから
寒くないように布団をかけてやって、楽屋から出た。






ラウ「岩本君は大丈夫かな？」




『照は慣れているし、大丈夫だよ。
それよりも俺は、Aが心配かな。』





ラウ「Aちゃん、頭痛に慣れていないもんね。」





『うん。それに睡眠不足も続いているし...
急激に悪化しないといいけど...』

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