10人目は頑張り屋さん14

. ページ29

目黒side



佐久間くんが粉々に砕いたラムネを
阿部ちゃんがAちゃんの唇につける。




阿「大丈夫。もう少しで落ち着くからね。」




何度も何度も唇につける阿部ちゃんを
見つめることしか出来ない俺達。



数分が経っただろうか？




ぼんやりと目を開けたAちゃんに
阿部ちゃんがホッとしたように笑った。





阿「A、分かる？
口、開けられそう？ラムネ舐めて欲しいな。」




そう言うけれど
まだぼんやりしているAちゃんからは
反応が返ってこない。





ラウ「阿部ちゃん...Aちゃん、大丈夫？」




阿「とりあえず応急処置はした。
あとはお医者さんに診てもらわないとかな。」




スタッフ「先生、到着されました！」




医者「どうですか？」




阿「動悸、目眩、吐き気、意識朦朧、痙攣などの症状が出ていて、低血糖が原因だと思います。

今、ブドウ糖を砕いて唇につける応急処置をして
徐々に意識が戻ってきた感じです。」





医者「雪白さん、分かりますか？
聞こえていたら、手を握ってください。
.....んー、反応が弱いな。


グルカゴン、1バイアル入れようかな。
彼女、肝硬変や食欲不信などはありますか？」




『肝硬変は聞いたことないです。
ただ最近、食事を取れていなくて...』




医者「取れていない？」




深「忙しくて、食事を食べる時間がないんです。
多分2週間くらい、まともに食事をしていないと思います。」




医者「2週間か...」




難しい顔をして考え始める先生の様子が怖かった。




『...何かあるんですか？』




医者「グルカゴン注射は食欲不振の患者さんには
あまり効果を発揮しないんです。
ブドウ糖液の静注をして、そのまま点滴を入れちゃいますね。すぐに病院に搬送出来ますか？」




阿「マネージャーが車を用意しているので
すぐに搬送出来ると思います。」




医者「分かりました。」





お医者さんの手で
Aちゃんに治療がなされる。





医者「これでだいぶ落ち着くと思います。
念の為、病院に搬送はしますが、もう大丈夫だと思いますよ。」




ラウ「良かった...」





スタッフ「あの...こんな状況下で申し訳ないのですが
映像では、雪白さんがお仕事で途中退席という形にしておくので、9人で収録を続けてもいいですか？」




深「もちろんです。
お騒がせしてすみませんでした。」





スタッフ「いえ、本当にお忙しいですから。
少しゆっくり出来るといいんですが...」

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す