10人目は頑張り屋さん12

溢れ出す本音 ページ35

照side



「「「ありがとう！！」」」


10人で並んで立ち、手を振ると
目の前に壁がゆっくりと降りてくる。




4公演目も無事に終わった。



壁が完全に閉まった瞬間...



「...っ...」



蓮「Aちゃん...」



涙を流し始めたAに
駆け寄ろうとした俺達だったけれど...



スタッフ「装置の確認をするので降りてください！」



スタッフさんに階段を降りるように促される。



蓮「あ、えっと...」



阿「...とりあえず、下に降りようか。」



「はぁ..はぁ...っ..」



康「A...」



ラウ「...Aちゃん、いける？」



「..っ...苦し...」



涙を流しながら
腰を抑えて蹲りそうになるAを
慌てて支えたラウールは困った顔でこっちを見る。



もともと限界ギリギリのところで踏ん張っていた
Aだけど...



俺達でもキツく感じ始めている3日目。




さすがにもう限界かな...




深「腰痛いなぁ...ヒール脱いで歩けそう？」




「..っ...無理..」



ラウ「スタッフさん、Aちゃんが限界だから
車椅子を上にあげられる？」



スタッフ「ごめん。流石に上にはあげられない。
どうにか下まで降りてきて。」




『A、背中に乗れるか？』



深「いや。腰が痛い時に、おんぶは辛いから。
とりあえずヒール脱いで。
ゆっくりでいいから、階段を降りような。」




「...無理...っ..脱げない..」




蓮「大丈夫。俺が脱がせるから
もうちょっとだけ頑張って立っていてね。」



そう言っためめがふっかと協力して
ヒールを脱がせる。




「..はぁ...痛い..っ..」



『痛いな...次の公演まで医務室で横になれるから。
もう少しだけ頑張れ。』



満身創痍のAをラウと目黒が横から支え
ふっかが前から、俺が後ろからと
万が一、ぶっ倒れた時に支えられる態勢を整えて
半ば抱えるようにしながら、慎重に階段を降りる。




下では、佐久間が車椅子を
阿部ちゃんが大きなタオルを持って待っていた。




佐「頑張ったな...ここに座れる？」



翔「佐久間。代わるからお前は足を冷やせ。」



向こうから走ってきた翔太が
手に持っていた氷嚢を佐久間に渡す。




佐「あ、ありがとう。頼むわ。」




翔「車椅子、おさえているから大丈夫。
ゆっくり座ろうな。」




「..無理..痛い...」




深「うん、痛いね。
でも座った方が移動が楽だから頑張ろう。」





ラウ「Aちゃん..っ..」

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