10人目は頑張り屋さん8

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阿部side




役員「別に、大したことは言ってない。

都内で墓参りをしているところが撮られると
いろいろと困るから墓を地方に移すように言って

病院に頻繁に出入りしていることがバレたら
世間から不審がられるから
弟を人目のつかない病院に転院させるように
言っただけだ。」






は？大したことは言ってないだと？




Aが心の拠り所にしているご両親の墓を...

Aの生きる意味になっている弟の存在を...



全てをAから取り上げようとしておいて
大したことは言ってないって...



コイツらはどこまで腐った奴らなんだ...






舘「...最低ですね。
Aのことを何も考えずに
その全てを否定して、取り上げようとするなんて...」





翔「ふざけんなよ！

Aのことを何一つ知らないくせに...
知ろうとすらしていないくせに...」





役員「...そもそもの話だが俺達は何もしていない。

もう用事は済んだよな？早く帰れ。」





佐「嫌です。
貴方達はAが自ら命を絶つ選択をするくらい
Aのことを追い詰めた。


この罪をきちんと認めて
然るべき措置を講じてもらいます。」







役員「...なんの話をしているのか分からないな。
俺達は何もしていない。
アイツが勝手に追い込まれただけだろ。」





照「この期に及んで
まだ、しらばっくれるおつもりですか？」







役員「...最後のチャンスをやろう。

今帰れば今回のことは無かったことにしてやる。



このままここに居続けたら、お前達の未来は終わる。


よく考えろ。

長い年月をかけて必死に努力して
ようやくデビューという道を手にしたのに
こんな些細なことで、これまでの努力を無駄にするんだぞ。


一時的な正義感で動くのは勝手だが
お前達の行動には、それ相応の責任がついてくる。


女である雪白はいつか抜ける。
いつか抜けるメンバーの為に、お前達は人生を捨てるのか？」





『...っ...』





覚悟はしていたはずなのに
改めて現実を突きつけられると
すぐに口を開くことが出来ない自分に情けなくなる。





だけど...


佐「...覚悟は出来ています。
俺は保障された未来よりも、10人で進む未来が欲しいです。」




照「俺も出来ています。」




深「俺もです。」




舘「覚悟は出来ています。」




翔「俺も同じです。」





俺だって大切な仲間と共に進む未来が欲しいから
その為なら、保障された未来だって捨てられる。




『もちろん俺も...覚悟は出来ています。』

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