10人目は頑張り屋さん3

私の話を聞いてください ページ3

宮舘side



約束の18時まであと5分。


俺らは指定された病院の駐車場にいた。




深「行くか...」



ふっかの言葉で病院の中に足を踏み入れる。






病院まで来る車の中でも
病室に向かうエレベーターの中でも
俺ららしくない重い空気が漂う。






最近、なんか様子がおかしいと感じていた矢先に
病院に...しかも病室指定で全員が呼ばれるなんて
正直、嫌な予感しかしていなかった。





多分、みんなも最悪の想像をしているだろう。






活動を兼任してきた6ヶ月間。

兼任を経験していない俺から見ても
相当ハードでシビアな日々の連続だったように思える。



もしかしたら俺らが想像しているよりも
心も体も限界まで追い込まれていたのかもしれない。








大雨の日の朝の様子


ジャニーさんが亡くなった後の不安定な感じ


昨日の誕生日に関する騒動



冷静でいつも笑顔のAからは
想像も出来ない乱れた様子が垣間見えていた。





目に見えて分かる変化も
ここ1ヶ月くらいで沢山あった。



それまでは前の仕事がない限りは
どんなに遅くても集合時間の20分前には
楽屋入りをしていたのに
ここ1ヶ月は、集合時間ギリギリに来るようになった。



目の下には絶えず隈があり
その隈も日に日に濃くなっていた。




ご飯をちゃんと食べていないのか
ここ1カ月で、かなり痩せてしまった。





俺が感じているだけでも
これだけの変化があるんだもん。


本人が感じる不調はそれ以上だっただろう。









でも俺らはなにもしてやれなかった。

自分達を取り巻く環境の目まぐるしい変化についていくことに必死で、ちゃんと見てやれていなかったのかもしれない。





今更、後悔しても遅いけど
“後悔” 以外、何一つ言葉が浮かんでこなかった。
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照「ここだな...」



Aに指定された病室の前に着いた。




深「...何を言われても、全員で受け止めよう。
そしてAの手を、決して離さないでいよう。」




ネームプレートは貼っていない。

その現実がリアルに俺らに襲いかかる。






『行こう...』

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ゆっくり扉を開くと中には


呼吸器をつけられて眠っている男の子と


彼の顔を愛おしそうに見るAの姿があった。

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