10人目は頑張り屋さん2

. ページ33

照side


真っ暗な日本人形ゾーンを抜けると
見えてきたオレンジ色の光。



ん？出口か？



『A、出口だぞ！』




震えるAを安心させてやりたい一心で
よく確認もせずに言ってしまったこの言葉。




これが大きな失敗だった。




「出口？...はぁはぁ..きゃー！！！！！！」




出口だと信じて顔をあげたAの目に映ったのは
激しいお経が流れる中
混沌と眠る女性、首を回転させる男性の姿だった。




「出口じゃない！！無理..おぇ...はぁはぁ...」




『うわ、ごめん...』




やってしまった...



とうとうえずき始めたAを背中に
再び真っ暗になった道を進むと
お札が沢山貼ってある扉が数枚。




康「また扉ぁ...うぅ...」





半泣きの康二と限界ギリギリのAを背に
勇気を振り絞って一番奥の扉を開くと
それはそれは長く真っ暗な廊下が続いていた。



『行くぞ...』



歩き出すと響き渡る赤ちゃんの泣き声。




「いやぁ...無理...はっはっはっ...いや...」




康「あかんて...」




不気味な雰囲気の中
突然青いランプがつき、ふと上を見ると


『うわぁー！！！！！！！』


女の子の生首が吊るされていた。



そして横には...



康「ぎゃーーー！！！！！！！」



入り口にいた女性が
ひっそりと、でもギッとこちらを睨んで立っていった。




『うわぁー！！！！！！』






慌てて廊下を通り抜けると


「も...むり...」


突然、背中に張り付いていた温もりが消え




康「A！？」




ほぼ意識のないAが床に倒れ込んだ。




『うわ...マジか！A？分かるか？』





緊急事態にスタッフさんに連絡を入れようとしたが...


意識を失ってもなお、呼吸を荒くして
震えが止まらないAの状態なら
ここで助けを待つよりも
早く外に連れていった方がいいかもしれない。




『康二、もうすぐ出口だ。
俺が背負って行くから、出口まで行けるか？』




康「大丈夫です。」




康二に手伝ってもらって
Aを背中に乗せ、再び出口に向かって歩き出した。





康「開けます...」




不気味に揺れるカーテンを開けると
中には桜の木が1本立っていた。


部屋に入ると真っ暗になった部屋から
木が切り倒される音が聞こえたと同時に
白い着物を着て、髪を振り乱し
怒り狂った顔をした女性が飛び出してきた。



康「うわぁー！！！！！！」



『うわぁぁぁぁぁ！！！！！！』

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す