・・・ryo20 ページ21
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目の前で少し震えながらぎゅっと目を瞑るA。
いつからこんなこと考えてたんだろう。
みんなに隠してずっと考えてたのかな。
そう思うと抱きしめたくなってきた。
いくらなんでも頑張りすぎだ。
｢A……｣
てつやがAの名前を呼んだ。
てつやに視線を向ける。
｢当たり前。｣
みんなで頷く。
Aの後ろに立っている虫さんもニコニコ満足気に頷いていた。
間抜けな顔で、みんなを見渡すA。
ていうかなんで今更、そんなこと聞いたんだ。
友達やめましょう、はいやめましょうってなるか？
｢馬鹿や。｣
としみつが笑う。
Aがムッとしてとしみつをみる。
｢馬鹿ってなにさ……こっちは真剣に考えたんよ？｣
｢友達やめるとか馬鹿って言ってんの！｣
相変わらず不器用な2人。
てつやはというと、鼻水垂らしながら涙ぐんでいてAに抱きついていた。
｢汚い！！｣
｢いいやん、今、感動場面やん！！｣
気づけばA中心の団子状態。
俺たちはどこまで行っても馬鹿だなあ。
｢たまには会おうね！｣
ゆめまるが言う。
｢うん！｣
そう言うAも泣いていた。
しばらくしてみんながちらほら解散し始める。
Aは虫さんと教員採用試験合格の通知を見せあっている。
どうやらまだ面接が残っているらしい。
2人ならなんとかなるだろう。
みんな変わらずに友達なのは当たり前。
でも。
当たり前に一緒にいた日常とはバイバイなんだな。
そう思った瞬間、心がザワザワした。
"とりあえず着任式までは普段通りでいるから、それまでよろしくお願いします！"
そうやって笑顔で言っていたA。
きっと着任式までも忙しくてなかなか会えないんだろうな。
｢りょうくん？｣
｢え？｣
Aの声がしてはっとする。
やべ、ぼーっとしてたのか。
｢りょうくんがぼーっとしてるなんて珍しいね。｣
｢眠たいのかも。｣
適当な嘘をつく。
ほんとは別に眠たくないし、寧ろ冴えてる。
｢そっか、しっかり寝るんだぞ。｣
Aはそう言って帰る準備をしはじめる。
その背中を見つめていると寂しい気分になった。
｢ねえ、A。｣
気が付くと呼び止めていた。
あれ、なに言おう。
｢ん？｣
振り返るA。
｢あぁ、いや……寂しくなったら、LINEしていい？｣
驚いた顔をするA。
変なこと言ったかな。
｢珍しく甘々だね。もちろんだよ。｣
眩しいくらいの笑顔。
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作者名：糯 x他1人 | 作成日時：2020年4月29日 12時
