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「…花南ちゃん?」


足は止まり、空いている左手で雄一さんの袖を強く握る



『………来ないで』

「どうし…」





雄一さんは戸惑い
あたしの目線の先を追って頷いた

「…そーゆーこと」









彼はあたしに気づき、
数メートル先から殺気に満ちた表情で走ってきた




「おい、花南っ…!!
お前俺と別れて2日で男と歩きやがって――――」


遠くから聞こえるその人の声は
あたしの足をすくませた








『やだっ…』

「大丈夫」

『え…?』

「僕が守るから」








そう言うと雄一さんは
走ってくる彼に顔が見えないように背を向け
あたしの唇に触れる寸前で停止した








『っ………』

「…黙って、大丈夫だから」






「おい花南、そいつ誰だよ!!
何キスして―――」





雄一さんは彼に振り返り
ふっと微笑んでから


「行こ、花南ちゃん」

と言った









今度は引っ張られるように雄一さんについていく

しばらく歩くと彼はもう追って来てないみたいで
雄一さんはゆっくり止まり

「…ごめん花南ちゃん」

と申し訳なさそうに笑った






まだ手は繋がれているものの、
いつの間にか雄一さんの指があたしの指に絡んでいた


これ、恋人繋ぎ……






「なんか前から走ってきたから元カレだろうなーって思って
咄嗟にあぁなっちゃった」

『え、理解力すご』

「ほんとごめんね?
あの方法しか思いつかなくて笑」






そう笑う雄一さんは

なかなか小悪魔だ…

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作者名:にゃんこけし | 作成日時:2017年11月23日 18時

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