愛刀が9本 ページ10
▽
「歩美ちゃん、頑張れ……走るんだ！」
「も、もう走れないよコナンくん……！」
廃墟の中で光彦と元太を探し始めてから5分程。
俺と歩美は、謎の生き物に追われていた。
ヤツの正体は知らないし分からないが、本能でわかる。
��
必死に走って距離を取ろうとするが、
デカい図体のくせに、あの化け物は足が早い。
キック力増強シューズと麻酔針も試してみたが、駄目だ。
化け物には一切効かなかった。
「もうダメ、捕まっちゃうよ……！」
「クッソ……！！」
さっき、俺は右足をやられた。
長い爪のようなモノに抉られちまった。
歩美は幸い怪我をしていないが、
もう体力が限界らしい。
「あ……行き止まり……！」
「ッ！！」
何でだ、何で行き止まりがある？
来た道を戻ってきたから行き止まりになんてなるハズない。
本当なら、そこはもう出口なはずなのに。
すぐ後ろには化け物が迫ってきている。
俺は歩美を背中に隠し、グッと歯を食いしばった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿その時。
「御用改めです、手向かいする者は悉く斬り伏せよ！」
一陣の風が、すぐ横を吹き抜けた。
直後、化け物が断末魔をあげる隙も無く崩れ落ちる。
……何が、起こった？
「よーし、坊や達無事ですね！まずは2人確保です！」
「コナンくん！歩美ちゃんも、大丈夫かい！？」
沖田さんと、安室さんが来てくれた。
安室さんは泣きついてくる歩美の背中を摩って、
俺は沖田さんの方を見る。
彼女の右手。
握られていたのは、あの時の日本刀だった。
「あと2人は……上ですね。
安室さん、ここでその2人を見ていてください」
「いえ、僕も」
「駄目です。絶対駄目です。不可です。
この子達の元を離れたら、誰が守ってあげるんですか」
結界から出ないでくださいね、と彼女は笑い、
再びその懐から紙を1枚取り出す。
その紙は光に姿を変え、
光は周囲を飲み込むように広がって、俺達を包み込んだ。
「外が見えない……」
「きっと、僕達のことを考えてくれてるんですよ。
また怖いものを見なくて済むように」
歩美を宥めながら、安室さんは言った。
……そりゃそうだ、あんなの誰が好き好んで見るか。
俺は中身が高校生だからいくらか冷静でいられたけど、
歩美はまだ小学生だ。
元太や、光彦だって……
「……アイツら、大丈夫かな」
「大丈夫、沖田さんがきっと連れ戻してくれるよ」
▽
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 861人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むぎ(プロフ) - コメント失礼します。刀剣が混ざったクロスオーバーはあまり見かけないのでとても面白かったです！沖田組は私推しなのでかなり嬉しかったです…！楽しみに待っていますので頑張ってください！ (2022年6月10日 12時) (
レス) id: 9b20094033 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 素敵な作品をありがとうございます。大変かと思いますが、更新頑張ってください！陰ながら応援しています。 (2022年3月6日 10時) (レス) @page12 id: 81104f8b54 (このIDを非表示/違反報告)
ラキア - コメント失礼します！主人公の沖田さんがとっても素敵です！まるでFGOの沖田さんみたい!もしやモデルですか？素敵な作品ありがとうございます！続き待ってます！！ (2022年2月21日 20時) (レス) @page12 id: 419133df1a (このIDを非表示/違反報告)
どこかの一般人 - コメント失礼します。タイトルに衝撃を受け読んでみると、話のテンポがよくはちゃめちゃに面白かったです！とても楽しめました！余談ですが、主人公の設定やセリフから“薄桜鬼”というゲームを連想し、1人興奮してしまいました！神作品を本当にありがとうございます！ (2022年2月14日 2時) (レス) id: 2beba04f41 (このIDを非表示/違反報告)
名もなき審神者 - 刀剣乱舞と言う刀が擬人化したゲームをご存知ですか？私はそのゲームで刀にハマり刀の名前が出てくると興奮します。大好きなクロスオーバーを作ってくださりありがとうございます‼︎‼︎ (2022年2月7日 7時) (レス) id: 997403b40e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いろは | 作成日時：2022年1月31日 19時
