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ただの一般人に、管狐の金縛りはキツイでしょ。
あんまり長く憑かれてると、
精神異常を引き起こしちゃうからね。
早めに済ませようか。
『 今なら抜けられるでしょ?こっちおいで。』
「 ………… 」
こくんと頷いた少女は、
硬直する男の腕から抜け出して私の後ろに隠れる。
下から私の顔を見上げ、
少し怪訝な表情を浮かべつつ「 ありがとう 」と呟いた。
うぐぬ、ぐぅかわ……(死)
『 ……さ、大人しく自首する?
それとも私の相手でもしてくれんの? 』
「 く、っそ…… 」
男はガクンとその場で膝をついて、
外に出された管狐が竹筒の中へ戻ってきた。
この竹筒の中には全部で75の管狐が入っていて、
呪霊を呪い殺すことに特化している。
人間ひとりを金縛りに遭わせるなら、
1匹出せば充分足りるのだ。
えっへん、凄いだろ。
『 お嬢ちゃん、大丈夫?怪我は? 』
「 平気よ、ありがとう。」
『 そっか、それは何より。』
救出した女の子は、妙に大人びていた。
その理知的な言動は、
悠仁より歳上なんじゃないかと思うほど。
……ごめん、悠仁を馬鹿にしたわけじゃないんだよ。
肌が裂けた部分に軽く触れながら反転術式を施し、
傷跡が残らないように処置をする。
もちろんバレないように。
だってこんなに可愛いのよ?
傷が残ったらどうすんのさ、私が許さん。
「 哀ちゃ〜んっ!! 」
「 吉田さん。円谷くんに小嶋くんも。
心配かけてごめんなさい、もう大丈夫よ。」
「 ご無事で何よりですっ! 」
「 ねえちゃん強ぇんだな!びっくりしたぜ! 」
『 ふふ、それほどでも。
小さい頃から護身用に武道を習ってたからね。
この子を助けられてよかったよ。』
茶髪の女の子の友達と思わしき子ども達が、
人混みを抜けてこちらへ駆け寄ってくる。
1年生くらいかな?超可愛い。
にしてもこんな小さな子どもまで巻き込まれるとは、
世も末だねぇ、まったく。
「 失礼、警視庁の目暮です。
あなたがあの強盗達を倒したと聞きましたが…… 」
『 ああ、はい。事情聴取ですか? 』
「 ご協力願えますか? 」
『 勿論ですよ。』
(何がとは言わないけど)ご立派な目暮警部と、
一緒にパトカーに乗り込む。
……いや、正確には乗り込もうとした。
「 ねぇねぇおねーさんっ! 」
__________コイツ。
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作者名:杠葉 | 作成日時:2021年7月15日 8時