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「なーんだ、そうなの？
コメントしてくれたら青木さんのアカウント探すのに」
冗談混じりに言う。
多くのファンを抱えている人が誰か1人のアカウントを探すなんてありえない。
「店のアカウントだったので…」
もごもご言い訳したら
「そうだったね、失敬」
と、彼はくすっと笑っていた。
「コメントは読むんですか？」
「フツーに読むよ。
何かポストしたら、ファンの子はすぐ反応くれるから、それ見てやる気になることも多いし。
かっこいいとかコメントくれるからね」
「じゃあ私もプライベートのアカウントを作ったら応援のコメントしますね」
と言ったのに、
「青木さん絶対作らなそー」
と笑われた。
「え、どうしてですか？」
「SNSに興味なさそうだから」
「そんなことないですよ〜」
「そーなの？じゃあ俺のファンになったらアカウント作ってよ。アイコンをそうだな…薔薇の花にして、
“ファンになりました！！”ってコメントくれたら俺、あ、青木さんが俺のファンになったんだなって認識するからさ」
などと言う。
絶対そんなことはありえないリップサービスなのはわかりきっているけど、そう言われて嫌な気持ちはしない。
「ふふ。わかりました。そうします」
結局私のランチ時間まるまる付き合わせてしまった。
「私お昼休憩なので店に戻ります。
貴重な時間なのに、すみませんでした」
「俺が話したかったからさ。午後もお仕事がんばってね」
「はい。中島さんも、覚えるの頑張ってください。
またお花が必要になったらいつでもお越しください」
「うん、いく」
じゃ失礼しますと頭を下げると、バイバイ、と手を振って見送られた。
マスターに、
「彼の分も一緒にお会計してもらっても？」
と頼んで、自分のたらこスパゲッティーと中島さんのカレーとコーヒー代を清算した。
店に戻るとコンビニのおにぎりを食べながら亮輔が私に
「午後も店番頼むね」と話しかけてきた。
「俺配達行くから。ちょっと遠いんだよね」
「わかった。気をつけてね」
「おう」
うちの店は配達もやっていて、会社の受付に飾る花だとか、店先に置くプランターだとか、定期契約も結構あって亮輔は配達に行って店にいないことが多い。
その留守の間私が店番を任されている。
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年11月11日 20時
