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「え、ほんとに？痛い系？俺痛いのマジで無理なんだけど」
うつ伏せになって振り返りながら聞いてくる。
「ねぇ、まって、マジでやさしくして？痛いの無理だから」
注文が多い彼に
「大丈夫です。ほぐすだけなので」
そう伝え、彼が枕に顔を埋めたのを確認して肩甲骨あたりにゴリゴリと指を埋めた。
「いってーー！！ちょ！青木さん！もっと優しく！！」
「わー！中島さん、こってる！！これ絶対老廃物たまってますよ！！
「え？！いやだ！しなくていい！！剥がさなくていい！むり！」
彼の叫びを無視してゴリゴリほぐすと
「ギブ！むりむりむり！や、なんかくすぐったい！！」
と今度は体を
「くすぐったいの、すごく筋肉が緊張してるからですよ。
これ乗り越えたら気持ち良くなるんで」
背中から手を離して説明するが
「いや、いい、気持ち良くならなくていい！！
つかドSだな！！俺が痛がってるの、楽しんでるだろ！！」
ギャーギャー言われた。
「ドSではないです。中島さんの体をほぐしたい一心です」
じと、っとした目で振り返ってくるので
「次は優しくします。ちゃんといい感じの指圧で。だから顔伏せて？」
ほんとかよ、みたいな疑いの眼差しを向けたあと、渋々といった様子ではあるが枕に顔を埋めたので、私は再度彼の背中に手を触れた。
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「めっちゃスッキリした！！ありがとう。おやすみ！」
「おやすみなさい」
優しくすると約束してからはリラクゼーション的な優しいマッサージを施した。
ご満足いただけたようでスッキリした顔をして寝室から出ていく彼をおやすみの挨拶とともに見送る。
寝室の扉が閉まり1人になった。
彼が寝ていた場所のシーツを整えて、私がそこに横になる。
枕に頭を乗せて目をつぶった。
もう誰のことも好きになりたくない、そう思っている。
だけど、まったく心が動かないわけではない。
ドキドキしたり、少しときめいてしまったりすることはある。
マッサージ、ここでしたの失敗した。
今夜のベッド、ここ数日と香りが違う。
たぶんこれ、中島さんの香りだ。
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年11月11日 20時
