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「疲れた体にこの和食が
汁物のお椀を置いて中島さんがほぅ、と息を吐く。
「お疲れ様でした。やっぱり踊ったからお疲れなんですか？」
私の作った夕食を2人で囲みながら今日の出来事について聞く。
「だね。体力使うから」
「そうですよね」
「今日はただのフリ入れだったから、撮影はまた別日っていうね。MV撮るまでは体動かす日が続きそう」
キラキラ輝いて歌って踊るためには、たくさんの汗が流れてるんだな。
帰ってきたら寛いでもらえるようにできるだけ私が家を整えておこう、と考えながら部屋をぐるりと見渡すと、ソファの背もたれに彼が寝る時に使うブランケットがかかっているのが目に入る。
「中島さん、私たちの寝床問題なんですけど」
ずっと思っていたことを提案した。
「私、敷布団買ってもいいですか？
中島さんこんなにお疲れなのに、私が悠々とベッドで寝続けるの、ほんとに忍びないんですよ」
切実に訴えると
「まぁそれもそうか」
と納得してくれた。
新しい部屋を借りた時に寝具として持っていけるのでちょうどいいではないか、と思い、夕食のあとさっそくネットで敷布団など一式を注文した。
「すぐ届くと思います」
「じゃあそれまでは寝室どうぞ」
「え、でも中島さんかれこれ1週間近くソファで寝ることになりますよ？」
「いいよ、それぐらい」
「疲れが取れずに体が痛くなったりしてませんか？
私がマッサージでもしましょうか？」
「…え？！まじ？」
「はい。うまいですよ、私」
「じゃあお願いする！！」
「お任せください。お風呂上がったらベッド集合で」
私が先に風呂に入り寝室で待っていたら、遠慮がちなノックの音がして、そっと扉が開いた。
自分の寝室なんだから、そんな遠慮しなくても。
「えっと…来たよ」
「…ようこそ？」
「ふは、なにそれ」
どことなく張り詰めていた空気が和らぎ、彼がスタスタベッドに近づいてきた。
並んでベッド脇に立つと、ご自身のベッドを前に
「なんか…おれ…大丈夫かな…このシチュエーション…」
とつぶやいた。
真横に立つ彼を仰ぎ見る。
「何か心配でも？」
「いや、青木さんに触られたら、俺…」
「変な気起こしますか？
大丈夫です。そんな気起きないぐらいガチなマッサージなんで」
私が真顔で返す。
「え？！」
驚く彼の背中を押しながら
「さ、うつ伏せになってください」
と促す。
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年11月11日 20時
