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翌朝、目が覚めると時計は9時を指していた。
早朝というわけでもないからリビングへ出ても構わないかな、と寝室から出てみると、リビングの部屋のカーテンは閉め切られてその隙間から陽光が筋になってフローリングを照らしていた。
中島さん、まだ起きてなかったんだ。
そっと彼の寝ているソファを覗くと腕で目元を隠してブランケットを雑に体に引っ掛けて眠っている。
毎日毎日ここで寝させてしまっていいわけがないよね…
忍足でその場を去り、キッチンに入る。
コーヒーを淹れ、パンを焼き、冷蔵庫の中に卵があったので目玉焼きを作った。
ウインナーとかベーコンがあれば…と思ったが、見つけたのはこだわり強めのパンチェッタだったので、それを焼くのはやめておいた。
フライパンのなかで目玉焼きがパチパチ焼ける音と、トースターのチン！という音が静かな室内に響き中島さんが起き出した。
目をこすりながらキッチンに来て
「んん？おはよう？」
寝ぼけ眼で挨拶された。
「おはようございます。今日は遅いんですか？」
「うん、おそい」
「起こしちゃいました？」
「だいじょうぶ。それあさごはん？」
「はい。一緒にどうですか？」
「たべる」
ふぁぁ、とあくびをしながら洗面所へ消えて行った。
朝弱いのかな。すぱっ！と起きるタイプじゃなさそう。
洗面所から戻った彼はさっきよりシャキッとしていた。
外で会う時よりプライベート感はあるけれど。
テーブルに並ぶ朝食を前に
「作ってくれたの？ありがとう」
嬉しそうにお礼を言われた。
「勝手にいろいろ使ってすみません」
「ぜんぜん！なんでも自由に使ってよ」
彼のその言葉を聞いて
「はい。なので今日から私、家のことさせてもらおうと思って」
「え？家のこと？」
「家事です。
中島さん。私の仕事が見つかって次の部屋を借りる資金が貯まるまでここに置いてもらえませんか？」
改めてお願いをした。
「え、いまさら？もちろんいいよ。初めからそのつもりだし」
「ありがとうございます。
それで、しばらくはここでお世話になるので、ここにいる間できることはさせてもらおうと思って。その意思表示ということで朝ごはんを作りました」
「お、おぅ。意思表示って」
なんか
「じゃあ家のことよろしく」
正式にこの家で家事をする許可をいただいた。
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年11月11日 20時
