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「じゃあもう同僚とか言わなくていっか。
同じ事務所のタレントへのプレゼントって言っても」
「そうですね」
私もにこやかに返した。
「SnowManのライブを見にいくんだ」
「そうだったんですね。楽しんでください」
「うん。ありがとう。仲間のステージは刺激にもなるから楽しみ」
包み終えた9本の薔薇を紙袋に入れて渡す。
「応援しています。
またご入用の際はぜひお越しください」
「またきます」
別れ際初めて、バイバイ、と手を振られた。
お昼になったのでバックヤードを片付けていたオーナーに声をかける。
「お昼行ってくるー」
「おー。いってらっしゃい」
店から歩いてすぐのところにある喫茶店に入った。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
優しいおじいちゃんマスターが迎えてくれる。
いつも座る席につくとお冷を持ってきてくれた。
「たらこスパゲッティーください」
「Aちゃんはいつもそれだねぇ」
と笑って伝票を書くと厨房の方へ行ってしまった。
お気に入りの喫茶店だ。
創業何年なんだろう？たぶんかなり古い老舗で、店内は昼でも仄暗くレトロな雰囲気だ。
テーブルや椅子の木はダークブラウンで統一されている。
しばらくすると出来立てのたらこスパゲッティーが目の前に置かれた。
「食後はホットコーヒーでいいかな？」
「はい」
「承知しました。ごゆっくりね」
のんびり言って離れていく。
おじいちゃんマスターは喋り方もゆっくりだ。
安定のおいしさ。午後も頑張ろう。
スパゲッティーを食べながら先ほどの中島さんの様子を思い出す。
またお店には来てくれるかな？
私に気づかれていたことに対する警戒感はなかったから、また来るといのは社交辞令ではないだろうなと思っているんだけど、どうだろう。
彼は純粋にうちの花屋を気に入ってくれてる気がしている。
差し入れに一人一人に薔薇を贈るって中島さんらしいな、とあまり中島健人に詳しくないが、いかにもそういうことしそうだな、という印象は持っていた。
紳士を貫いている人、みたいな。そんな感じ。
ゆったりとコーヒーまでいただき、穏やかなお昼休憩を過ごし店に戻った。
＊
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作者名：にこ
| 作成日時：2023年11月11日 20時
