君を愛したい

結婚式？ ページ35

「結婚おめでとうございます!」

元気よく敦君達が言った。

おめでとうございますって何でお祝いなのかな？

横に居る治を見上げてみる。

私の考えている事が分かったのか愉快そうに微笑んだ。

「君の幸せを願っているのだよ」

「…幸せ？」

私が幸せになるのかな？

「中也にあげるのはやっぱり嫌だなぁ」

どしっと私の肩にもたれ掛かる治。

「幸せって良く分からない」

私は殺しとかしかこの手にしてきてないから。

後悔した事は無いけど、幸せって言われると少し胸が痛い。

私は何人もの人生を奪って来たから。

でも、其れを悔いていない私は幸せになれないだろう。

「雪無」

不意に名前を呼ばれて顔を上げる。

チュッ…

「え？」

何時の間に居たのか中也が私の前に立っていた。

「任務終わって無いのに心配で来ちゃったの？」

心配症の中也だ。

「手前もっと言う事あんだろ、そうだけどよ」

呆れた様に返された。

こんな所かな、何時も知らない内に私を助けてくれる。

「中也。此処敵地だけど」

探偵社に普通に入り込んで居る中也。

「あぁ?手前に触れた奴殴り殺す為に来たんだよ」

「中也。雪無を手に入れたからって図に乗らないでくれないかなぁ?」

治が此方にやって来て私の手を引いた。

「手前いつか殺す」

「私は君に殺されても嬉しくないねぇ。雪無と心中するなら嬉しいけど」

すっぽりと治に覆われて私の視界は真っ暗だ。

何となく治が気遣ってくれているのが分かった。

「苦しいよ治」

押しても力が強くて押し返せない。

「私は籍を入れるのでも嫌だったのだよ？」

「手前早く離せ!」

治の悲しそうな声が聞える。

「太宰ッ‼」

「「何？」」

国木田さんの声に私と治が反応する。

「手前は中原だろうが!」

「どうやら雪無は太宰姓のままが良いようだねぇ」

「…そんな直ぐには変われないよ」

慣れないから仕方無い。

「手前は俺の嫁だって言ってんだろ」

「私のお嫁さんだよ」

「いや、治とは結婚してないよ」

喧嘩が始まってしまう。

「コイツと結婚してんのは俺だけだ」

「私の姓を名乗ってるけど？」

「はぁ…治っ苦しっ…」

段々手の力が強まり私は窒息しそうになる。

「…可愛い」

「え？」

恍惚とした治の声が聞こえた。

「いやぁ、君の初めてを奪っ…「わー‼」」

時既に遅し。

「そうだったなぁ。雪無来いよ」

ド怒りの中也が私の肩を掴み治から離させた。

「…え…中也、さん？其れは無…はい」

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