検索窓
今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:25,523 hit

家族 ページ23

雪無side
治の事…。

二人共大事だ。

私は治に愛せないと言ったのに中也を好きになったの?

「…中也を好きなんて有り得ないですよ」

結論が其れだった。

確かに付き合うのは私らしくない。

結婚までしようとして…。

「そうかね」

森さんがニッコリと笑う。

そうだよ、私に人を愛する感情はあった?

今まで誰も愛して来ずに家族まで殺した。

そんな人間が人を愛する資格何て無いよ。

「…私は何円で買われたんですか?」

そう問うと、森さんが此方を見詰めた。

其の瞳は冷たくて何を考えているか分からない。

抱き締められている手に力が篭った。

「太宰君が君を買うと言ったのかな?」

隠し事が出来ない人だ。

直ぐにバレてしまう。

「はい。後、少し気になっただけです」

そう言えば中也が自分を大切にしろと言っていた。

「…到底買えない値段だよ。言わば人身売買だからね」

買えない値段か…。

つまりは森さんから逃れる術は無いと言う事だ。

「私から離れたいのかね?」

瞳が不安そうに揺れていた。

「森さん?…」

何だろう森さんらしくない。

「はぁ…」

ため息をつかれ、ぎゅうっと抱き締められる。

私より大きい身体が私の身体を飲み込んでしまう。

「…温かい、ですね」

こんな暖かさを私は知らない。

初めて此の人に教えて貰った。

私の家族は言葉だけしかくれなかったから。

言葉に敏感なのは其のせいだろう。

「そうかね…私は君にとって大切かい?」

自信が無さそうな声だ。

「大切ですよ。何時もの様に自信満々な貴方が良いです」

さらりと森さんの髪を撫でる。

「…君は何で人を救うのかな?」

「救う?」

私が人を…?

「知らない内に君は人を救っているのだがね」

「誰をですか?」

ゆるりと森さんが微笑んだ。

「太宰君も中原君も君に救われているよ」

こんな殺人鬼同然の私が?

「君だからだよ」

「…二人を欺いてきた私がですか?」

二人にはとても悲しい顔ばかりされていた。

でも、一緒に居ると楽しかったとは思う。

「私は、君を大事にしている彼等は君の隣に居るだけで救われていると思うがね」

「居るだけで?」

「君に心を取り戻して欲しいんだよ」

哀しそうに森さんが笑った。

「私に…」

二人を愛せる?

「君が居るだけで私は嬉しいよ」

其の言葉に身体が固まる。

其の時、また抱き締められた。

「嘘や偽りは無いよ」

優しく撫でられる。

安心する声。

「私の側に居なさい」

決定事項の様だった。

私の気持ち→←父親



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 双黒   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

彼岸花(プロフ) - ハクさん» ありがとうございます!外しますね! (2017年4月28日 6時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 更新頑張ってください!あとオリジナルフラグついちゃってますので外した方がいいですよ! (2017年4月28日 0時) (レス) id: 394f4347ab (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!兄妹難しいですね…。大分大変です。更新頑張ります! (2017年4月21日 6時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 兄弟愛大好きです!!更新いつまでも待ってます! (2017年4月21日 6時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年4月16日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。