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其れでも… ページ18

中也side
血の海の中立っている雪無は矢張り綺麗だった。

何とも言えない様な悪寒に身震いをする。

「其れでも手前が好きだ」

どんな姿でも好きでたまらない。

絶対になびかなくても、其れでも手前を想い続ける。

雪無はつまらなそうに俺を見ていた。

「中也、勘違いも甚だしい」

睨みつけられ身体が凍る様なヒヤリとした感覚に襲われた。

「私はなびかないんじゃない誰も愛せないんだ」

吐き捨てる様に言うと雪無は唇に触れた。

「そんなの…」

口を開くと睨み付けられた。

「君達は人を愛せるんだッ!なら、私なんかにかまけていないで違う人を愛しなよッ!」

苦しそうに雪無が叫んだ。

何かから逃げる様に。

何かを恐れていた。

「…君達?」

ふと、雪無の言葉の矛盾に気付く。

すると雪無は俺の後を指差した。

「兄さんもだよ」

後を向くと太宰が居た。

死体の山を見渡して太宰が此方に来る。

「嫌だね」

ハッキリと太宰が言った。

「俺も嫌だ」

そう主張する。

「手前の代わりなんて居やしねぇよ」

ずっと雪無しか見ていなかったのだ。

「私だって雪無しかいらないよ」

太宰が雪無に一歩近付いた。

「ッ‼来ないでッ‼」

鋭く雪無が叫んだ。

何故こんなに拒絶されたのだろう?

そんなにこの気持ちは嫌だったのか?

「…何でだよ」

「…知らないよ。私だって嫌だよ」

苦痛に顔を歪める雪無が俺を見た。

そんな表情でも綺麗だ。

愛しいと感じる事に偽りは無い。

「何がだよ!」

話が噛み合っていない。

何に怯えてるんだ?

「…私、雪無の過去を知ってるよ」

太宰の落ち着いた声が鼓膜を揺らした。

其の声に雪無は驚愕していた。

唇は青白く、顔は顔面蒼白だった。

こんな表情は初めて見た。

「…何…で…?」

何時もの落ち着いていて退屈そうな雰囲気が無かった。

何かに怯えてひたすら目を見開く雪無。

「過去?」

尋常じゃない怯え方に俺は少し疑問を抱く。

「……安吾…だね?」

慌てているのに冷静に考えていた。

太宰は軽く頷いた。

「そうだよ。君の口から聞きたかったけどね」

私から離れたからねと、太宰が言った。

何を知っているんだ?

「太宰、何なんだ?」

雪無はじっと下を見ていた。

「…雪無はね、中也」

話し出す太宰の側を雪無が離れた。

「否定しないのかい?」

雪無の手を太宰が掴み、引き止めた。

「出来ないよ。私は殺し屋だ」

過去は…→←離れたい



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設定タグ:文スト , 太宰治 , 双黒   
作品ジャンル:恋愛
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彼岸花(プロフ) - ハクさん» ありがとうございます!外しますね! (2017年4月28日 6時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 更新頑張ってください!あとオリジナルフラグついちゃってますので外した方がいいですよ! (2017年4月28日 0時) (レス) id: 394f4347ab (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!兄妹難しいですね…。大分大変です。更新頑張ります! (2017年4月21日 6時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 兄弟愛大好きです!!更新いつまでも待ってます! (2017年4月21日 6時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年4月16日 10時

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