怖い? ページ11
治が固まっていた。
何故其処までショックを受けているの？
「兄さん?」
心配になって呼び掛けると、微かに此方を振り向いた。
「…中也の方が良いのかい?」
じっと見詰められた。
何となく、此処に居てはいけない気がした。
「ごめん、帰る！」
足早に探偵社から私は飛び出した。
何か後戻り出来なくなってしまいそうだったのだ。
開けてはいけない箱を開けるかの様な。
当然後から治と中也が追い掛けて来た。
どうにか逃げなくては。
「雪無!また逃げるのかい！」
その言葉に私は治を睨み付けた。
「逃げていない!」
治が私を煽った事は分かっているが、言い返してしまう。
「知るのが怖いのだろう?」
足を止めた私の手を掴んで治が言った。
怖い…？私が？
「兄さんが隠してる事何て知りたくないよ」
自分の唇に触れながら言う。
「嘘付き。私の格好をしたら秘密が分かるとでも思ったのだろう？」
当たっている。
考えが分かると思ったのだ。
治が服を引っ張った。
「ちょっと、兄さん!」
私の服を脱がしていく。
パサリと外套が音を立てて床に落ちた。
「此処は誰も来ないよ」
路地裏だから来ない事位分かってる。
「こんな格好しても雪無には分からないさ」
治が冷たく私を見据えて言った。
「…そんな事…」
無いとは言えなかった。
「一生分からないよ」
治の言葉が胸をえぐった。
これ以上ない程の痛みに顔を歪める。
まるで自分が人では無いと言われた様だ。
異端だとはっきり言われた様だ。
「…何で」
私は好きでこんなになったんじゃない。
分からないんだ、人が。
治自身も分からなくなったら、もう人ではなくなりそうだ。
「嘘付きだからだよ」
両手を壁に縫い付けられる。
「ッ!…離せ」
治を睨み付けて命令した。
「兄にそんな事を言っていいのかい?悪い子だねぇ」
一瞬顔を歪めたが、治は嗤った。
「兄でも関係ない!」
「チッ…」
小さく舌打ちをすると治は私の顔を掴んだ。
「兄さんッ!離して!」
幾ら足掻いても手を離してくれない。
「何で分からないんだ！」
刹那、私の耳元で声が響いた。
その声に肩を竦める。
「私は君が…」
口を開いては閉じて治は苦しそうに私を見詰めていた。
「君は人を愛せないのだから言っても意味は無いね」
悲しげに言うと、私の服に手を掛けた。
「兄さんッ!?」
「私はしたいのだよ、良いのだろう?」
そう言い嗤った治に嫌悪が芽生える。
その夜、私達兄妹は禁忌を侵した。
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彼岸花(プロフ) - ハクさん» ありがとうございます!外しますね！ (2017年4月28日 6時) (
レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - 更新頑張ってください！あとオリジナルフラグついちゃってますので外した方がいいですよ！ (2017年4月28日 0時) (レス) id: 394f4347ab (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!兄妹難しいですね…。大分大変です。更新頑張ります！ (2017年4月21日 6時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 兄弟愛大好きです！！更新いつまでも待ってます！ (2017年4月21日 6時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年4月16日 10時
