依存 54% ページ8
太宰side
全く痛いなぁ。
まぁ、嘘だけど。
奏が心配してくれるからね。
「中也、ほら行こう」
まだ殴りたそうな中也の手を奏が優しく包み込む。
待ってよ、何で中也何かに触るのさ。
「君は行かせない」
中也だけ探偵社から追い出して、私は彼女を抱き寄せた。
「治さん!任務があるんですよ？時間守れないなんて死んでも嫌です！」
「じゃあ、一言言ってくれたら良いよ」
奏が怪訝な顔をした。
「月が綺麗だねぇ」
その言葉に、奏は驚き目を見開いた。
君を愛してる。
「ずっと前から月は綺麗ですよ」
ずっと前から私も愛してる。
今度は私が目を見開く番だった。
彼女は探偵社から足早に去った。
博識な彼女だ、意味を理解している。
私の方が逃げられないんじゃないかなぁ。
捕らえられたのは私の方かも知れないね。
「太宰、お前あの綺麗な女性は本当に恋人なのか？」
国木田君が凄く驚いた顔で聞いて来た。
「そうだよ」
「でも、何でマフィアの人といたんでしょう？」
「簡単だ。彼女がマフィアだからだよ」
皆、発狂する。
彼女はマフィアに見えないからねぇ。
でも、何で名刺何て持ち歩いているのだろうね。
私は一つ仮設を立てた。
消毒液の匂いもしたし、香水の匂いもした。
「太宰さん勝手に何処か行かないで下さいよ!」
敦君が私の方によって来て言った。
その時、微かに百合の花の匂いが鼻をかすめた。
私は敦君の肩に手を置き、笑う。
「あーつーしー君、何処で何をしていたのかなぁ？」
「何もしていませんよッ!?」
キョドってビックリしている彼に私は笑い掛ける。
その手に白い綺麗なハンカチが握られていた。
「じゃあ、そのハンカチはどうしたんだい？」
そう言うと、気付いた様で手のハンカチを見せた。
「さっき綺麗な女の人とぶつかってしまって、服が汚れたのでハンカチを貸して貰ったんです」
絶対に奏だろうね。
白くて淡い色を好む彼女の好みは、変わっていない様だ。
「でも良く分かりましたね」
敦君が笑顔で聞いてくる。
「敦君、もう一つ忘れてないかい？」
笑顔のまま私は彼に聞く。
「え？うーん、無いですよ」
「ふーん、ぶつかった時に抱き締めて無いのだね？」
ビクッと肩を震わせて私の顔を見上げた。
「え、嫌、抱き止めたくらいですよッ!?」
必死で代弁する彼を見詰めて口の端を上げる。
「その女性は私の恋人なのだよ」
「恋人ッ!?あんなに親切で綺麗な人がですか!?」
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます！結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (
レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
和 - 前作も読ませていただいてました！中也のもどかしさがなんともカッコいい！！双黒万歳！！更新楽しみにしてます！ (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月24日 17時
