依存 93% ページ49
中原side
今の目の前の状況が信じられない。
「奏…?」
確かに体術は教えたが、其の動きは喧嘩慣れしている奴の動きだ。
「中也?」
何時もと変わらない表情で俺に呼び掛ける奏。
其の足元には屈強な男達。
「…何があったんだぁ?」
一応聞くが、コイツは無闇やたらに人を殴る奴じゃねぇ。
「ナンパされて、殴られようとしたから」
ムスッと膨れて奏は男達を指差した。
「避けたら勝負しろって言われたから、一発だけ殴っちゃった」
笑顔でそう言うコイツに寒気を感じる。
喧嘩をした事があるのは嘘じゃなかったのか…。
「そうか…」
もうそれしか言う事が無い。
と言うか、益々好みだ。
弱くて守ってやりたくなるコイツがこんなに強くて綺麗何て益々惚れる。
「中也?」
首を傾げる奏を、自分の物にして置きたくなる。
なのに、太宰に囚われて手を出せない。
「手は大丈夫なのかよ」
「うん、全然大丈夫だよ」
綺麗な細い指を見せてくる。
少しだけ赤くなっていた。
自分の指を絡ませて繋ぐ。
「赤くなってんじゃねぇかよ」
「ふふっ、中也との方が赤くなっちゃうよ?」
いたずらっぽく笑った。
もう小悪魔に近い。
人を依存させるだけさせやがって。
「そこら辺の奴に俺が負ける訳がねぇだろ」
くしゃりと頭を撫でる。
其れにしても…。
「手前が人を殴るとは思わなかったけどなぁ?」
何があっても殴らない気がしたのだ。
「うーん、お腹に赤ん坊いるからね」
サラリと爆弾発言をした。
聞き間違いか?
そうだと願いたい。
太宰との子供何て、俺が嫌だ。
「殴られても困るから、先に眠って貰ったの」
とてつもない事を笑いながら言ってのける。
「赤ん坊…?」
「うん、そうだよ」
少し悲しそうに目を伏せて、笑った。
また、太宰かよ。
いい加減に此方を向けよ。
「…そうか」
其れでもコイツにだけは泣いて欲しくねぇ。
気持ちを伝えたら、手前は泣くだろ?
自分が気付かなかった事を責めるだろ?
「親になるのは少し恐いなぁ」
空を見上げて奏が呟いた。
其れでも、太宰の為に受け入れたんだろ?
悲しそうなのも、嬉しそうなのも全部太宰かよ。
俺はずっと手前を見てんのによ。
「…俺がいるだろうが」
優しく奏の頭を撫でる。
すると、花が咲いた様に笑った。
「ありがとう、中也」
其の笑顔を今は独り占めしたかった。
俺は何時でも手前の味方で、手前を泣かせないと誓ったからな。
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
和 - 前作も読ませていただいてました!中也のもどかしさがなんともカッコいい!!双黒万歳!!更新楽しみにしてます! (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月24日 17時