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彼が振り向く。

嫌だ、振り向かないで!

私は会いたいけど、会いたく無かった。

目が合うと驚いた様に目を見開いた。

少し痩せていて、大人になったんだと感じる。

背はやっぱり高くなっていて、カッコいいなぁと思う。

此方を見た彼は笑顔になった。

私だと分かったのだろう。

あの頃よりも長い髪に、身長も少し伸びた。

彼が、一歩踏み出した。

「太宰、手前何でいんだよ!」

中也の声は耳に入らなかった。

私は踵を返し、走り出す。

チラリと書類で見た男の子がいた。

確か、中島敦君で虎になる。

「奏!!」

あの頃よりも少し低い声が耳に響いた。

脳が痺れて、心臓が高鳴る。

もう、期待はしたくない。

走り出して逃げ回る。

後ろには気配が付いて来ている。

けれど、私の方が速い。

中也に凄く指導されたから。

「奏!待ち給えよ!」

「嫌です!!」

あの頃と同じ口調に違う声。

知らない人の様でとても哀しい。

会うのがとても怖い。

私をどう思っているのか知るのが怖い。

でも、もう会えない。

ごめんなさい、治さん。

ーーー
太宰side
やっと会えたのに、奏が逃げ出した。

何故?

私は内心焦ってしまう。

もしかしたら、私は彼女に嫌われたのだろうか?

更に、足が速くなっている。

此れが中也のおかげとかとても腹立たしいなぁ。

私のなのだけど?

絶対に逃さないし、私の物なのは変わらない。

「奏!!」

どれだけ声を荒げても、彼女は振り向きもしない。

「来ないで下さい!」

何で敬語なのかなぁ?

中也達と楽しそうに話してたんじゃないのかい?

後から中也達も付いて来るが、そんな事どうでも良い。

私はずっと会いたくてたまらなかったんだ。

それなのに、逃げるなんて。

私が置いて行った事を怒っているのだろうね。

でも、君は私から逃れられなかったのだろう?

だから今も逃げてる。

そんな事しても離さないし、離したくない。

「チッ、奏!」

中也が重力操作で奏を連れ去った。

「中也!奏を返してよ」

「はっ、もう手前のじゃねぇんだよ」

何で手何て腰にまわしてるのかなぁ?

私のだって言っているのだけどねぇ。

空中から、屋根の上に移動した中也が私を見下ろしていた。

「中也、小さいんだからって其処まで高い所に登る事ないじゃあないか」

煽ると、普通に近くに降り立った。

ニヤリと笑う。

「中也、残念だねぇ。私のだよ」

私は中也の腕の中にいる奏を奪い返した。

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設定タグ:文スト , 太宰治 , ヤンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
- 前作も読ませていただいてました!中也のもどかしさがなんともカッコいい!!双黒万歳!!更新楽しみにしてます! (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月24日 17時

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