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依存 66% ページ21

しばらくの間、沈黙が続いた。

其処を破ったのはエリスちゃんだった。

「リンタロー!」

声高らかに呼ぶ声が病室に響く。

「エリス、静かに!」

やはり注意をして、病室に入って来た。

「あれ?二人共何かありました?」

キョトンとした奏が何かを察知して言った。

君の事なのだけどね。

「世間話だよ」

「ねぇリンタロー、ケーキ買って!」

「良いよ!」

「またね、エリス!」

楽しそうに手を振って森さん達が帰って行った。

私は直ぐ様奏を抱き締める。

「治?」

彼女が不安げに私の名を呼んだ。

「もし…君の姉が戻って来るとしたら、君はどうするかい?」

その言葉に目を開けるだけ開き、零れ落ちそうな程の涙を目に溜めた。

「無理です」

キッパリとそう告げた。

その目は、今まで見たどんな瞳よりも薄暗かった。

同時にとても綺麗だった。

奈落の底を閉じ込めた様な瞳にラベンダー色の光が仄かに揺れた。

ゾクリと背筋が震えて悪寒が走る。

「異能力が…「無いですよ」…え?」

確信に満ちている答えに私は驚く。

「私が殺したんですから」

もっと暗くなっていく彼女の瞳が綺麗で見惚れる。

何て、綺麗で繊細で儚いのだろうか?

こんなにも傷付いている奏は見た事が無い。

「施設にいたの。でも、私が殺した」

涙を流して、虚空を描く瞳はがらんどうで美しい。

「済まない」

私は優しく彼女を撫でて、落ち着かせた。

私に縋り付きながら彼女はずっと泣いていた。

泣き虫なのは変わっていないのだね。

頑なに人を頼らないのに泣いている時は頼って縋り付いて、なんて可愛いんだろう。

私はずっと寄り添っていた。

ほら、私を頼るだろう?

ねぇ、君の姉が戻って来る事は無いのだから私にずっと依存すれば良いのだよ?

例え誰の所に行っても、私だけをその心と瞳に刻めば良いのだよ。

私は君を離さないのだから。

君を壊すのも、喜ばせるのも全部私だけだ。

「治、ありがと」

そうやって微笑みかけるのも私だけだ。

じゃないと君を殺して私の物に永遠にしようかと思うよ。

君が嫌がるとは思うけどね。

他の人間の物になるくらいなら、私の物で生涯を閉じて欲しいんだ。

「私を愛しているかい?」

「うん、愛してる」

ほら、愛の言葉も返って来る。

其れならまだ君を見ているよ。

絶対に私の物でいるならもう少し、此処に居てみようかな。

そう思うのだから、私も君に依存してるんだよ。

だから、離れては駄目だからね?

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設定タグ:文スト , 太宰治 , ヤンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
- 前作も読ませていただいてました!中也のもどかしさがなんともカッコいい!!双黒万歳!!更新楽しみにしてます! (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月24日 17時

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