依存 65% ページ20
「其れがどうしたんです？」
冷やかに笑い返す。
「彼女は私の所有物と一緒だからね」
その言葉に殺意しか感じない。
奏は私のなのだから。
確かに部下なのだから、森さんは彼女を動かす権利もある。
「奏の目には貴方は映っていませんよ」
「太宰君、人は自分と良く似た人間を好きになる」
「だから何です？私達は正反対だと言いたいんですか？」
私達は光と影の様な物だ。
だからこそ、惹かれ合うし退け合う。
「君達は似ているよ。だけどね、君達を繋げている物はとても脆い」
ニコリと微笑んで森さんが言う。
知ってるさ、私を放って置けない事も。
目的に手段を厭わない冷静さも。
本質は近いのに、全くと言って良い程似て見えないのだ。
「分かっていますよ」
だからこそ此処までしたのだ。
四年間も離れて、私だけを見せた。
無垢で純粋な彼女は目的の為なら手段を選ばず、其れはとても危険で危うい。
「一つ聞いたのだがね、姉を取り戻したいそうなのだよ」
確か最初に殺してしまったと聞いた。
「死者は戻って来ない」
「知っているよ。だが、可能だったらどうだろうねぇ？」
冷酷な笑みを浮かべて笑う森さんを私は睨み付ける。
五月蝿い。
私から奏を取るのなら誰であっても許さないよ。
「私は奏を離しませんよ」
「太宰君、その時君は奏君に嫌われるだろうね」
例え奏の姉であっても私は殺してしまうだろう。
私以外に奏の目が行くのだから。
「奏の姉が生き還る事は有りません」
「異能力によって会えるとしたら?」
確かに、聞いた事がある。
「見つけたのですか？」
「嫌、見つけてはいないよ」
安堵するが、その人間を殺してしまえば良い。
そしたら永遠に奏の姉は戻りはしない。
「太宰君、君は君自身の行いで彼女に嫌われるだろうね」
「まさか。嫌われても私が彼女の心に強く根付くだけですよ」
嫌われても更に私しか見れなくなるのだから。
憎んでも私しか見えないのだ。
森さんは私を奏に嫌わせようとしているのだろう。
「周りには私がいるがね」
「森さんこそ彼女に何もできないでしょう？」
私が心にいる彼女に何かしたら嫌われてしまうのだから。
「合理主義者の貴方らしく無い」
言葉で言いくるめて彼女を此方に向かせた方が合理的だ。
けれど、其処まで彼女に夢中なのだろう。
「彼女は私の物だ」
かつての上司に殺気を向け、私は微笑んだ。
渡さない。
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます！結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (
レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
和 - 前作も読ませていただいてました！中也のもどかしさがなんともカッコいい！！双黒万歳！！更新楽しみにしてます！ (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月24日 17時
