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「奏ー」

彼の声がするが、聞こえないフリをする。

私は今仕事中なのだから。

診察して行き、やっと治さんの所まで来る。

「治、病院では静かにして」

やっとの事で言えた。

敬語に成りそうなのを堪えて言う。

「奏が患者に触れるからねぇ」

「じゃないと脈拍が測れないんだよ」

ヤキモチ焼きなのはあの頃と全然変わっていない。

むしろ酷くなった気がする。

「そうかい。じゃあ測らなくて良いのだよ」

「治!そんな事言わないで!」

いつ状態が悪化するか分からないのにそんな事を言わないで。

一人一人大切なのに。

私は睨んで目を合わせる。

「済まなかったよ。そう言う意味じゃ無いさ」

分かってる。

分かってても口に出して欲しく無かった。

「うん、治は安静にしして下さいね。…あ」

言った後で気付いて、私は青ざめる。

「此れは癖でんッ、ふっあ」

時既に遅し。

満足そうに微笑んでいた。

あの頃とは違い大人びていて妖艶だ。

大人の人って感じで恥ずかしい。

キスだって嫌じゃないから、反抗出来ない。

ずっと会いたかったから仕方ない。

「治、安静にしてね」

「ふふっ、そうだねぇ」

楽しげに笑って彼はベットに寝転がった。

私は廊下を足早に歩いた。

其処に賑やかな声が聞こえた。

その団体に私は注意する。

「すみませんが病院ではお静かに」

私はニコリと笑って言う。

「奏さんは此処の医者だったんですね!」

その声は聞き覚えがあった。

「敦君と、探偵社の皆さんおはようございます」

治のお見舞いだろうな。

私はひとまず挨拶をする。

「本当に太宰さんの恋人何ですか?」

凄く疑われて、何故か訝しがられる。

「何でですか?」

「こんなに完璧な女性が太宰の恋人だとは思えん!」

国木田さんが発狂した。

そんなに変なのだろうか?

「取り敢えず落ち着いて下さい」

私は国木田さんを宥めて、治の病室に案内する。

「太宰に恋人何て本当にびっくりだね」

乱歩さんが目を細めて私を見ていた。

「治は探偵社に迷惑を掛けてるんですね」

苦笑してしまう。

「勿論だ」

皆首を縦に振っていた。

「太宰のヤローが大怪我したって本当か、奏」

嬉しそうな声が後から聞こえた。

「中也嬉しがらないでよ」

「手前此れが嬉しがらずにどうすんだよ」

私の肩に手を置いてニッと笑った。

「中也奏に触れないでよ」

病室の中から不機嫌な声がする。

「こりゃ最高の眺めだな。百億の名画にもまさるぜ」

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設定タグ:文スト , 太宰治 , ヤンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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彼岸花(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!結構中也さんて書きやすくて多めにしちゃうんですよ。是非、楽しんで読んで下さいね! (2017年3月25日 13時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
- 前作も読ませていただいてました!中也のもどかしさがなんともカッコいい!!双黒万歳!!更新楽しみにしてます! (2017年3月25日 12時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年3月24日 17時

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