愛 16 ページ16
今日は政府からの依頼の件もあったな。
確か集会の方にそろそろ顔を出せとか言っていた。
一度も顔を出した事はないし仕方ないか。
「主」
「ん？あ、太郎さん」
トコトコと太郎さんが後ろをついて来ていた。
気づかなかった、と言うより足音が静か過ぎた。
「主、仕事を手伝います」
「大丈夫、今日の仕事は終わってるから」
今からだが正直手伝って貰う事は余りない。
「そうですか」
「うん。ありがとね」
「隣に居るので何かあれば言って下さい」
隣の近侍部屋に入り太郎さんが消えていった。
仕事、しなきゃね。
端末の機械をいじっているだけで頭が痛くなりそうだ。
ため息と共に頭痛がしてきた。
「審神者様、政府の話し合いにそろそろ参加して下さい」
当然現れたこんのすけは当然のように私の膝に座った。
「こんのすけ、次の話し合いはいつ？」
次は行くしかないよね。
「明後日ですね、現世の方にそろそろ帰った方が良いでしょう」
そう言われてみれば仕事に夢中で現世に帰っていなかった。
「そうだね、ちょっとだけ休暇を貰おうかな」
「刀剣男士の方は審神者用のホテルがあるのでそちらに外泊ができます」
外泊か…。
「外泊はしない。それと、直ぐに帰るから」
「良いのですか？」
「うん、現世に行く所なんてないよ」
「分かりました」
ぽしゅんっとこんのすけは消えてしまった。
あ、明後日どんな格好すれば良いのか聞いてなかった。
まぁ、学生という事で制服で行けば良いか。
おろしとかないとな、後は明日の近侍は一期にしよう。
早めに回して短刀達と触れ合えた方が良いだろう。
「主〜、入って良いか？」
コンコンっと誰かが戸を叩いた。
「鶴丸？良いよ」
了承すれば戸を開けて鶴丸が入って来た。
ぐるりと鶴丸は部屋を見渡す。
「きみ、近侍はどうしたんだ？」
「あ、仕事終わったから隣の部屋に居て貰ってるの」
ふーんと彼は私の手元を見た。
「きみ、いつまで一人でやるつもりだ？」
全く、この刀は賢く優しい。
色んなものを私に教えようとしてくる。
「大丈夫、貴方達に手伝わせる事が本当にないだけだから」
本当にないのだ。
書類は殆ど自分で書かないといけないし、やれる内容なんて今日の記録くらいだ。
「きみ、少しでも皆手伝わせて欲しいんだぞ」
「そうは言っても、もうする事がないの」
明日の計画を立てるくらいだし、今書いた書類はもう終わった。
「きみは人を頼る事を知らな…」
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2019年4月21日 15時
