愛 2 ページ2
疑問ねぇ、鶴丸は妙な事を気にかけるんだよね。
「人間は気紛れだからだよ」
人間だから色々好き好みはある。
感情が動けば必然的に態度に出てしまう。
「人間とは面妖よ」
三日月は美しく微笑んだ。
そうしてれば綺麗なのに普段が残念だ。
「主、所できみはいつまで顔を隠してるんだ？」
また違う話題だ、本当に知りたがりだな。
「いつまでって…？」
私はこの仕事をせられた時から顔は隠そうと思っていた。
私達は刀と人間。
それはしっかりと自覚する必要があるのだから。
「いつになったらきみの顔は見れるんだ？」
「一生観れないよ」
見せない、そこまで気を許せるとは思っていない。
「よし、きみ、そこから動くなよ」
「は？ちょっと、鶴丸こそ動かないでよ！」
ジリジリと鶴丸がこちらへと近寄ってくる。
大変な事に止めてくれる人がいない。
いつもなら清光とかがいるのに。
三日月は全然使い物にならなそうだし。
「嬢ちゃん達ゃあ、何してんだ？」
「日本号！助けて！」
運良く食堂に集まりに来た日本号と出くわす。
「良いけどよぉ」
「主の顔を見るチャンスなんだぞ！」
ピクリと日本号が反応した。
急いで食堂へと繋がる扉を開ける。
開けば誰かに後ろから拘束された。
「悪いな、嬢ちゃん」
「日本号の裏切り者ー！」
しっかりと拘束されてしまえば身動き一つとれなくなる。
「フッフッフッ、さぁ、見せて貰おうか」
鶴丸が私の顔を隠す布へと手をかけた。
後ろには本丸にいる刀達全員が揃っていた。
ポカーンと皆こちらを呆気にとられ観ている。
「鶴丸！皆いるから！」
そう言っても鶴丸の手は止まらず布がはらりと外された。
「おお〜！」
「主さん、可愛い！」
口々にそんな感想を皆が言う。
「見ないでッ！」
日本号の拘束はまだされたままで顔を覗き込まれる。
「何だ？あんた綺麗な顔なのに勿体無いじゃねぇか」
彼らは容姿端麗な顔をしているのに自覚はないのか？人間とそれでは全く違う。
「日本号は綺麗な顔をしてるから分からないよ」
「嬢ちゃん、素直に綺麗って言われたら受け取るもんだぜ」
ポンポンッと子供にするように頭を撫でられた。
顔まで観られれば自分の気持ちがバレバレだから嫌なのに、情が移るのも嫌なのに。
「鶴丸がみたいなんて言わなければ見られなかったのに…」
恨めしく鶴丸を睨む。
「鶴丸？」
私の顔の布を持ったまま鶴丸は固まっていた。
「固まってるな」
「驚きだぜ///」
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2019年4月21日 15時
