トリップしたいなんて言ってない！ 中

漫画の世界　59 ページ9

「相手の人はお姫様扱いされてそうですね」

「…キスでもしてたら？」

「キス？…任務でしょうか」

赤井さんがため息をついてコチラを見た。

何だ、その仕方ないみたいな表情は。

「恋人を連れて来られたらどうだ？」

「出て行かないといけませんね、幸せになって欲しいです」

「……君は嫉妬は分かるか？」

「勿論」

そんな幼稚園生でも知ってる、嫉妬した事はないが。

「俺が女を連れて来たらどうする？」

「え…赤井さんはありそうですね」

綺麗な顔立ちだし、良くある光景だろう。

「…恋人だったら？」

「任務でしょうか？」

いや、彼も恋人くらいつくるのだろう。

少し残念そうに笑った彼が車の扉を開けた。

「出ようか」

車から出されて知らない場所へと入れられる。

其処には銃が数え切れない程あった。

「本物ですよね！」

「嗚呼」

並べられる物を一つずつ手に取る。

「撃っても…？」

「的は用意されている。怪我はするなよ？」

出て行く背中に頷き気に入った物を手に取る。

ゆっくりと銃口を向けて撃てば騒音が響き的を撃ち抜いた。

「凄い！」

一生撃つこともないと思っていたが良い体験が出来た。

続けざまに撃てばやっと頭部に当たる。

「ん？弾切れか」

球を代えずに次々と銃を取り撃つ。

辺りに銃が山積みになってきた所で赤井さんが戻って来た。

「こんなにしたのか？」

やや驚いた赤井さんが辺りを見回す。

「コツを掴むと面白いですね」

ちょっとだけ、ちょっとだけだが外で撃ちたい。

「外に行くか」

良く考えた事が分かったな、驚いて赤井さんを見ればニヤッと笑った。

「君は俺と似てる所があるからな、実戦で試したくてたまらないだろう？」

「はい！」

ついて行けば誰かが立っていた。

「君、用意してくれ」

赤井さんが立っていた男に言えば何かを用意しに行ってしまった。

「スコープで覗いて今から用意される的を狙うんだ」

説明を聞くと直ぐに見晴らしの良い場所に行きスコープで外を覗く。

山奥だからか的が先程のような黒いものは見付けにくい場所もある。

「あ！」

見付けた、男は狙わなくて良いんだよな？

的を用意しているのをお構いなしに私は的だけを狙い撃つ。

的確に的に当たり的は壊れ落ちた。

次は、さっきの反対側あたりかな？

木の枝に取り付けられている的を撃ち抜く。

ゾクリと何かに私の身体は震え快感なのか、恐怖なのかは自分でも分からない。

「夢奈！君は的を持っている彼を撃ったな？」

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