トリップしたいなんて言ってない！上 (ページ10)

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漫画の世界　10 ページ10

「明日ですか？私、バイトなど探さないといけないんです」

そうしないと明日から野宿だ。

「何故です？貴女は此処に居ても良いんですよ」

「私何も持ってないので、せめてバイトでもして服とかも揃えないといけないんです」

「それなら貴女が風呂に入ってる時に買ってきましたよ」

「はい？」

一瞬耳を疑う。

買ってきた？私の服を？

あんな短時間で買ったというのだろうか？

「見ますか？其処にかかってますよ」

クローゼットを開けば大量に服が入っていた。

どれも真新しく高そうだった。

「でもサイズって…」

「嗚呼、見れば分かります」

見ればって、怖いんだけど。

つーっと彼の指が私の胸元をなぞった。

「彼シャツというのがあるらしいのでそれを見たかったんですけど、胸元がキツ過ぎましたね」

何というか色気溢れる言動だった。

「バイトしてお返しします、このポロシャツは今すぐ脱ぎます」

「あ、駄目ですよ」

脱ごうとした手を掴まれる。

「僕の買ってきた服は明日着て欲しいんです」

まるで決定事項のように語られてしまう。

「明日って、バイトを探しますよ」

「その服のお礼は明日僕が買った服を着て出掛けてくれれば良いので」

そう言われれば断れない。

口が達者だ、拒否権も取り上げられている。

「でも、住む家も探さないといけなくて…」

「此処に住んで下さい」

平然と言うが本当に勘弁して欲しい。

「それはちょっと…」

「家出ではないでしょう？それに、日雇いのバイトなんて…」

ドサッとベットに投げられた。

「きゃっ！」

するりと彼の手が腰に回り身体が密着する。

「こうゆう事をさせられますよ？」

カプリと私の耳を甘噛みした彼が耳元で笑った。

「そんなバイトしませんっ！///」

「そんなバイトしかありませんよ。大人しく此処に居た方が安全だと思いますよ」

ウッとそれに反論は出来ない。

確かにここの方が安全なのは正論だ。

「住む所が見付かるまで此処に居ても良いですか？」

「勿論ですよ、寝ましょうか」

にっこりと微笑んだ彼はベットに転がった。

「いや、其処私が寝てたベットですよ」

「一緒に寝ましょう」

グイッと引っ張られて私は布団の中へと入る。

疲れてる身体は抗わずに身を任せた。

まぁ良いか、温かい体温が心地良い。

「ん…おやすみ、なさい」

眠くて疲れてたのもあり私は急速に瞼が落ちていく。

「え？ちょっと、冗談で…」

焦った声がしたが私は睡魔に勝てなかった。