検索窓
今日:41 hit、昨日:5 hit、合計:232,287 hit

漫画の世界 33 ページ33

「うわぁ、初めて見る機械!」

日本ではエンバーマーが少なくて貴重なのだ。

「化粧品もこんなの使うんだ!」

遺体に化粧を施すのもエンバーマーの仕事。

私が憧れていた職業だ。

「貴女はそんなに興味があるんですか?」

どれに対してだろうか?

「何故あんなに平然と死体を見れたんですか?」

何故?確かに躊躇もなく見ていた。

私は初めて死体を見たはずなのに。

「沖矢さんこそ平然と見てましたよ」

それは見慣れてるからだろうがね。

でも、今の貴方は大学院生だよ。

「何度も遭遇してますからね」

「多分、死んだら帰って来ないからですよ」

死んだ人は帰って来ない、只の肉体でしかないから、悲しいと感じる事が少ない。

「貴女は…」

「夢奈さんッ、帰りますよ」

安室さんの声に引き戻される。

「安室さん、お仕事大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないですよ、貴女のせいでね」

穏やかな安室さんとは対照的に沖矢さんの瞳は冷ややかだった。

「さようなら沖矢さん」

「えぇ、また」

家を出て車に乗り込めばドッと疲れが出てきた。

流石に慣れない事をするものじゃない。

「頬をはったのはすみませんでした…」

しおらしく安室さんが言った。

「大丈夫ですよ」

私も悪かった事があるのだ。

「今度から危険な事はやめて下さいね。それより夢奈さん、何故貴女からそんなに煙草の匂いがするんですかね?」

煙草の匂い?嘘…そんなにしないと思うんだけどな。

「そんなにします?」

「します。貴女の髪からね」

サラリと安室さんの手が私の髪へと伸びる。

「嗚呼、勉強している時に少し寄りかかってたから髪に匂いがついたんですね」

確かに沖矢さんに答えを聞いたり質問する時少しだけ寄りかかった。

まぁ、結構長い時間勉強してたから髪が沖矢さんにかかってたのかも知れない。

「勉強?寄りかかったんですか?」

「いや、分からなくてちょっと頭抱えて当たったくらいですよ?」

「勉強会には蘭さん達しか行かないと言ってませんでしたか?」

そんな浮気したかのような言い方は頂けないものだ。

「偶々会ったら英語を教えてくれたんですよ」

「英語ですか。僕が教えますよ」

何だろう、何となく弱みを握られていく感覚なんだが。

「あー、沖矢さんに聞いてテスト範囲は終わったんですけど…」

「復習も大切ですよ」

「そうですね。でも、本当に英語分からないので…びっくりしないで下さいね」

取り敢えず家に帰り着いてからだ。

漫画の世界 34→←漫画の世界 32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
174人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

彼岸花(プロフ) - れんさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年9月20日 20時) (レス) id: faf1357482 (このIDを非表示/違反報告)
れん - 面白い☆彡 (2019年9月20日 17時) (レス) id: 24330c091d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:彼岸花 | 作成日時:2018年10月11日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。