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漫画の世界 11 ページ11

「おはようございます」

元気よく挨拶すれば安室さんは眠そうに目をこすった。

「貴女を侮っていました、シャツなんて着替えさせて置けば…」

ブツブツと彼が何かを呟いている。

リビングに行けば食材が用意されている。

お礼に朝食を作ろうか、それくらいした方が良いよね?

手早く食材を切っていく。

朝だからお味噌汁とかでも良いかな?

迷った末に日本人らしい食事を作る。

「良い匂いですね」

安室さんが着替えたらしくピシッとした格好になっていた。

「もうできますよ」

作っては見たが我ながら旅館のような料理だ。

何となく安室さんがそんな料理を食べているのが見たかったりする。

「嬉しいです、貴女の手料理が食べられるなんて」

手料理と言っても焼いたり切ったりしただけの簡素なものだが。

お気に召したらしく彼はいそいそとテーブルへついた。

「どうぞ」

彼の前に朝食を運ぶ。

「頂きます」

自分の分も運ぶと合掌をする。

「その、美味しいですかね?」

弁当は作るが久し振りに人に食事を作ったのだ、少し緊張してしまう。

「美味しいです」

「良かった…」

嬉しそうな笑顔にホッと息をつく。

「貴女は昨日電話をしてましたが繋がらなかったんですか?」

あ、昨日そこから起きてたのね。

「全員繋がらなかったです、この携帯はもう意味もありませんね」

詰まりは帰る方法はゼロに等しい。

「良いんですか?貴女はそれしか持って来てないんでしょう?」

「もう会う事はないでしょうし、写真だけ残れば良いんですよ」

帰れる道を探すのは面倒くさい、それなら此処で生活してみたいのだ。

あちらには未練がないし、こちらにも思い入れはない。

「ロックがかかってますね、暗証番号は?」

スッと私の携帯をとり彼は開く。

「教えませんよ」

色々と見られたくないものはないが個人情報が多い。

「ところで、恋人でもいるんですか?」

「何故?」

「貴女の待ち受け画面ですよ」

良く見れば恋人と手を繋いでる写真だ。

嗚呼、確かにいたが最近別れた。

傷をえぐる気なのかこの男は。

「変えておきますね」

すぐさまフォルダから引っ張ってきた彼岸花の写真に切り替える。

「お好きなんですか?」

「はい、綺麗ですよね」

「それで、恋人は?」

こんな事聞き出しても面白くはないだろうに。

「居ませんよ、最近別れました」

やや微笑んだ彼がこちらを見た。

「最近ですか、余り思い入れがないんですね」

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彼岸花(プロフ) - れんさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年9月20日 20時) (レス) id: faf1357482 (このIDを非表示/違反報告)
れん - 面白い☆彡 (2019年9月20日 17時) (レス) id: 24330c091d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2018年10月11日 0時

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