第百五十一話 ページ4
声が聞こえる。
声が聞こえる。
人だ、人だ。
餌だ、食料だ。
食べたい、食べたい。
化物は喋らない。
化物は見つめる。
目の前が真っ赤だ。
ああ、食べたい。
クロエ?何だそれ?誰だよ?
ああ、知らない。
知らない。
彼女は今、食料だ。
ノコノコ近付いた馬鹿だ。
食ってしまえ。
食ってしまえ。
骨の髄までしゃぶりつくし、血の一滴まで飲み干そう。
きっと、後悔するだろうけど、そんなのは後でも良いよな。
変わりを見つければいいんだから。
だから、これは正しい。
正しい行為だ。
動物が植物を食べるように、鳥が魚を食べるように、人間が動植物を喰らい生きているのと同じくらいには正しい行為なのだから。
「・・・んなわけがあるかよ。」
一体、何が正しいんだ?
一体、何処に変わりがあるんだ?
誰が誰の変わりになるんだよ。
何がクロエの事なんか知らないだよ。
目の前にいるんだよ。
短くて、しかし親しかった彼女が。
存在すら認めないってどういう理屈だよ俺。
「・・・近付く・・・な、キケンだ。」
俺はそう言って、屋上から飛び降りて逃げ出した。
急いで自分を磔にできるところを探さなければ。
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