第百七十四話 ページ27
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「大丈夫だ、守ってみせる」
エドワードに言われた言葉が、嫌という程頭の中を駆け巡る。
何度も何度も再生される。
嬉しいと思ってしまった。
縋ってしまいそうになった。
甘えてしまいそうになった。
そんな自分が、嫌になる。
どうしようとなく嫌になって、嫌いになって。
いっその事消えてしまえばいいのにとさえ思ってしまう。
アメリアやぜノ、もちろんエドワードのお荷物にならずに済むのでは、とも。
1度もマイナスな事を考えると、その思考は中々止まらないもので。
そんな事を考えてしまう自分にも嫌気がさし始めた時。
「へっ…」
突然、地に足が付いていない感覚になる。
抱き上げられて、自分じゃない誰かの温もりが頬に、いや、全身に伝わってきた。
数秒遅れて、自分がエドワードに横抱きにされているのだと言うのを脳が理解した刹那。
ぶわっと、恥ずかしさが込み上げてきて、顔全体に熱が集中する。
下ろしてと抗議して暴れるも、そんなものは彼に通用するわけもなく無視して突き進まれてしまった。
急に走ったので思わず、エドワードの胸元の服を掴みぎゅっと目を瞑る。
怖いという感情が爆発しそうになるが、彼のがいる。という安心感もあった。
どこかへと走っている最中、野太い声や悲鳴、戦う音爆発音、様々な音が耳に響く。
学園内で、こんなことが起こるなど誰が想像していただろうか。
そんな事を思っていれば頭上で爆発音が聞こえた。
目を開ければ、そこにはガタイのいい男の人がいてこちらに向かって攻撃をしてくる。
あたる!と思ったが、エドワードはその攻撃を綺麗に避けて男の首めがけて回し蹴りを食らわせたのだ。
自分を片腕で持っているというのに、そんな事が出来る彼を場違いながらにも凄いと思った。
やはり吸血鬼の身体能力は底知れないと身をもって感じる。
彼の背後に視線を移した時。
ゆっくりとこちらに近付いて、武器を振り下ろそうとしている男の姿が映った。
「エドさん、後ろ!!」
気づいた時にはそう叫んでいて、目を瞑る。
けれど次目を開いた時には武器を持っていた男が床に倒れていた。
エドさんが倒したの?と聞く前に、進み始めたから急いで服を掴み直す。
人間離れした動き。
傷付いてもすぐに治る修正力。
この一連の出来事で、彼が吸血鬼である事を改めて実感した。
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