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第百六十九話 ページ22

「どうしたのエドさん?」

クロエが俺に聞いてくる。

「・・・いや、俺の思い過ごしなら良いんだが。」

そう思いながら、ゼノが出ていった扉を見つめる。

何の変哲も無い扉が、魔界への扉みたいに禍々しく感じた。

「思い過ごしって?」

クロエが聞いてくるが、俺は首を横にふる。

「いや、きっと気のせいだ。続きをやろう。」

そう言って、紙を掴もうとすると、それを指で斬ってしまい、血が流れ出てしまう。

流れ出る血を見ていると、心臓が高鳴った。

俺はこの感覚を知っている。

よく体験したし、押さえていたものだ。

最悪だ。

吸血衝動が今になってぶり返してきた。

俺は急いで目を閉じて、片手で口を覆う。

暫くすると、胸の高鳴りが収まった。

クロエが心配そうに聞いてくる。

「大丈夫なの?エドさん?」

俺は頷いてから深呼吸をする。

吸って、はいてを繰り返す。

そうだ、俺は化け物なんかじゃない。

押さえつけている、押さえつけているのだ。

「俺は人間だ。俺は人間だ。化け物なんかじゃない。」

自分にそう言い聞かせる。

でないと、壊れてしまいそうだったから。

自分に言い聞かせるしかなかった。

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作者名:古茉 x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年6月18日 23時

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