第百六十二話 ページ15
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あれから1週間が過ぎようとしていた。
体力も徐々に回復してきたエドワードは、走れるほどにまでになっていた。
2日前ほど寮に戻り、今では普通に今までとは変わらない生活を送っている。
そんなある日のお昼休み。
アメリア、ゼノ、クロエ、エドワードの4人はいつものように理事長室にてお茶会をしていた。
ふと、何かを思いだしたようにゼノが口を開く。
「そう言えば、もうすぐ定期テストじゃん」
「そうだったわね」
ゼノの言葉に、紅茶を啜っていたクロエがコクリと頷きながら呟く。
「めんどうだな〜」と、呟いたゼノは続けてエドワードに対し言葉をかけた。
「てか、エドは休んでた分のトコ大丈夫なの?」
「あー、どうだろうな」
「なにその返事、テキトーじゃん」
そう言いながら、ゼノはクスリと笑った。
その笑いに釣られるように、エドワードも笑みを浮かべている。
あの1件(ゼノのぶっちゃけ話会)をきっかけに、2人の仲はすごく深まった。
本当の“友達”のようになったなぁ、とクロエは密かに思っていたのだ。
いや、クロエだけでなくアメリアもそう思っている。
エドワードが、ゼノの事を受け入れてくれた事も仲がより深まった事も。
クロエは自分の事のように喜んだ。
今のやり取りも微笑ましく思いながら眺めていた時。
名案を思いついたと言わんばかりに目を輝かせたゼノは口を開いた。
「そうだ、またクロエと勉強会すればいいじゃん!
わかんないトコとか教えてもらいなよ」
「「え…?」」
見事に、クロエとエドワードの声が重なる。
お互い顔を見合わせながら、どうするかと考えた。
そんな考えている最中に追い打ちをかけてきたのはもちろんアメリアで。
にんまりと悪戯っ子のような笑顔を浮かべているアメリアは、更に口角を上げた。
「そうじゃな、2人で勉強せい」
有無を言わさない強制的な瞳。
こんな瞳で見つめられては、何も言えないのだ。
おずおずと、クロエが問いかけの言葉をはいた。
「ねぇ、しないって言う選択肢は…?」
「あるわけなかろう??」
にっこりと笑顔を浮かべてそう答えたアメリア。
デスヨネー。とクロエは小さくため息をついた。
そんなこんなで、また今回の定期テストもエドワードと勉強会をすることになったのだ。
まぁ、前回勉強会したお陰で成績は上がったし。
と、心の中で呟いて苦笑を浮かべているエドワードに笑いかけた。
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