第百六十話 ページ13
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エドワードが突然倒れてから、ゼノはすぐに倒れてくる彼の体を抱きとめる。
あんな状態になったのだ。
こうなる事は大体予想はついていた。
男にこれをするのはどうかと思ったが、取り敢えず急いで彼を休ませないといけい。
という事で、彼を横抱きにする。
向かう先はもちろん理事長室…の、隣にある休憩室だ。
そこにはベッドもあるし、彼を休ませる事が出来る。
それにアメリアが隣の部屋にいれば、何かあった時に対応出来るだろう。
そう考えてのことだ。
彼を横抱きにしたまま、ゼノは休憩室へとかけて行った。
休憩室のベッドに、エドワードを寝かせてからアメリアにこれまでの事を説明しようと隣の部屋に入る。
「おや、誰かと思えばおぬしか。」
「ゼノ!その、どうだったの…?」
アメリアは意味深な笑みを浮かべていて。
クロエは心配そうな眼差しで見つめてくる。
対称的な2人の表情が面白かったのか、ゼノはクスリと笑った。
取り敢えず、これまでの流れを軽く説明する。
「エドはちゃんと、受け入れてくれたよ」
と、ゼノが言えば心配しきっていたクロエの表情はぱぁぁっと色を取り戻した。
けれど、次のゼノの言葉によってそれはまた色を失う。
「けど、エドが倒れちゃって…。
今は隣の休憩室で休んでるよ。」
「え…。エドさんは、大丈夫なの?」
クロエの動きがピタリと止まった。
不安げな瞳で、ゼノを見上げる。
そんなクロエの表情にちくりと胸が傷んだ。
「大丈夫だよ、後3日もすれば目が覚めるはずだから。」
「心配なら傍にいてやったらどうじゃ?
その方が彼奴も安心するじゃろう。」
と、ゼノとアメリアの言葉に、クロエはコクリと頷く。
それからの3日間。
クロエはお昼休みや放課後、授業と授業の間にある短い休み時間ですら、エドワードの傍にいた。
そして、ちょうど3日目になる日の放課後のこと。
「っ…。」
ピクリと、エドワードの頬が動いた。
それから徐々に、薄らと瞼を開ける。
目が覚めたのだ。
ゆっくりとエドワードは身体を起こす。
目覚めなかったらどうしよう。なんて恐怖心がどこかへと飛んでいった。
彼の目が覚めた事が嬉しくて嬉しくて。
クロエは嬉しさのあまりエドワードに抱き着く。
「エドさん…っ!!」
「おや、目が覚めたようじゃな」
「ほんとだー!良かったぁ」
その後ろには、いつの間にやらゼノとアメリアが来ていた。
2人とも、嬉しそうに頬を緩めている。
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