第四十五話 ページ47
誰もいなくなった体育館の中、俺は静かに佇んでいた。
「・・・クッ」
思わず笑みを溢す。
ダメだ、おさえられない。
歓喜の念が沸き上がり、思わずそのまま笑い続ける。
その後、笑いが収まり冷たい顔で呟く。
「・・・ああ、漸くだ。」
待った、待ったぞ長かった。
「精々計画でも整えていろ、必ず潰してやるからな。」
そう何処までも冷え冷えとした声で呟くも何もかえってくることはない。
少しだけ虚しくなったので急いでホールに向かう。
すると、クロエが心配そうに聞いてきた。
「遅かったわね、大丈夫?」
俺は極普通に返答する。
「いや、考え事をしてて遅くなったんだ。心配させて悪かった。」
そう言うとそっぽを向いて「別に心配したわけじゃないわよ。」と言った。
その後も何か言っていたが全て耳からすり抜けていた。
「・・・ねぇ、どう思う?」
どう思う・・・か、わからないな。
正直どうなるかわからない。
そう伝えようとしたのに、俺は彼女にその反対の言葉を投げ掛けていた。
「大丈夫、何もない。」
いつの間にか彼女に言い聞かせるように呟いていた。
「何もないよ。」
俺はそういって、授業の準備を始めた。
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