第三十六話 ページ38
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彼から「似合ってる」と言われた恥ずかしさと心の中で闘ってなが、頬に感じる熱をなんとか冷まそうと軽く手で自分の顔を扇ぐ。
なんとか頬の熱が収まってきて、小さく息をついた。
チラリと時計を確認すれば、開催までまだ時間がある。
どうしようかも、話題を考えていた所ふと彼からまた問いかけがあった。
昨日は大丈夫だったのか、と。
そうね、ハッキリ言えば全然大丈夫じゃなかったわ貴方のせいで…!
唯でさえショート寸前だったのに!貴方がいきなり触れてくるから…っ!!
なんて言葉を言えるはずもなく、どう答えようかと悩んだ結果。
「えぇ、大丈夫よ。疲れが溜まってたみたいだわ。それよりごめんなさいね、いきなり倒れたみたいで」
と、平然を装って当たり障りのない返事を返した。
そんな返事に、どこかほっとしたような表情を浮かべた彼を見て、優しい人だな なんて思う。
すると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ、クロエとエドじゃん!やっほー」
振り向けばそこにはゼノがいて、どうやらまだパートナーの準備が終わっていないらしく今は1人だ。
いや、今の注目点はそこではない。
今エドって呼ばなかった?え、なに…この人達知り合いなの?
そう思って隣にいる彼をチラリと見詰める。
え、誰こいつ。みたいな表情は浮かべていないので知り合いなのだろうとは思っが、関係性が謎過ぎた。
「クロエ今回のドレスもめっちゃ似合ってるじゃん!ちょー可愛い」
なんて、爽やかな笑顔とお決まりのセリフを吐いてくるゼノ。
他の女の子達なら「きゃっ」なんて可愛い反応をして頬を赤く染めるはずなのだが、彼女の反応を違っている。
「そう、ありがとう」
先程のエドワードの時とは違い、頬はちっとも赤く染まっておらず照れてるのての字もないのだ。
けれどもゼノはそんな事気にする様子もなく、視線をクロエからエドワードに向ける。
「エドもすっげぇかっこいー、礼服様になってるし!」
と、こちらもお決まりのセリフを吐いたのだが直ぐに口を開き「あ、パートナーの子来た!じゃあ俺もう行くわー」と、あっという間に去っていった。
「騒がしいわね、相変わらず…」
なんて呟かれた言葉は、彼に聞こえるはずもないが小さくため息を零す。
「まぁゼノが言ってた事、私もそう思うわ。貴方も似合ってるわよ」
なんて、彼をチラリと見上げて礼服姿をもう一度見たあと、微笑を浮かべた。
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