其の20 疑心暗鬼と好奇心が八割 ページ21
『はーあーいー』
退屈に沈む躰を引き摺りながら扉を開ける。
案の定、其処には首領が居た。だが驚く事に、其の手には銀の託宣が握られていた。
笑顔のままで、首領は言い放つ。
森「Aくん。簡単な任務を熟して貰えないかね？」
『……へぇっ？』
◇◆◇◆◇
『そんな訳で、今回の組織潰滅の任務は、俺の指示に従って貰いますー』
俺は目の前に並ぶ、無数の黒服を見た。
君は、この組織の正式な組織員で在り乍ら、公表されて居ない影の人間だ。だがね、決して表に出ていなくても君は私の助手であることに変りはない。そして、君は既に我々ポートマフィアが背負う重大な任務の一端を担っている。丁度良い機会だ、矮小な組織へ見せしめとして君にこの任務を任せよう。影たる君の存在をね。
そう云う事で宜しくね、と云うと首領は俺に確り銀の託宣を握らせた。
目の前の黒服達は明らかに狼狽している。まあ当然だろう。彼等にとって、俺はぽっと出の存在でしかない。しかも見たところ少年で体術等には疎そうな細い体躯。
こんな奴が今迄ポートマフィアに、しかも自分達より長く居る。何より首領から絶大な信頼を受けている。
この程度の任務、普通ならば銀の託宣なんて持たせない。詰まり、そう云う事だ。
……しっかし、纏まらねえな。解っちゃいたが。
此処まで纏まらんと、流石に俺もムカつく。
痺れを切らした俺は手を叩き、注目を集める。
『はーい、はい。善いですよ質問どーぞ。幾らでも答えます。さ、疾くして下さいね、無駄な時間は可能な限り減らしたい』
何人かは互いに顔を見合わせて恐る恐る手を挙げた。
『はい、そこの前から3番目の君！』
「……体術の心得は、あるんですか？」
ふむ成程、大変善い質問だ。
俺は満面の笑みを浮かべた。
『当然だ。体術だけでなく、ナイフ術や暗殺術は割と出来るし、簡単にだが狙撃の心得も有る』
一様に驚いた顔をする。
「えー、その……異能力はもってるんですか？」
『在るよ。所謂、未来予知と精神操作の二つが可能な異能をもってる。だけどな、上の許可が下りない限り使えない。よってこの任務では無いものと考えてくれ』
使えないし。
その後も細々と質問は続いた。俺に対する好奇心、年下という事で多少踏み込めるからってのや、俺が使えるのかという不安感。
あー、くそ、面倒だ。
中「……あ？ お前、何してンだよ」
『……うげ』
厭な声がした。
其の21 残り2割→←其の19 少年にとって退屈とは最大の敵である
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衣紋(プロフ) - 有栖さん» お読みいただきありがとうございます!!後々にわかりますので楽しみにしていてください！ (2018年4月6日 19時) (
レス) id: d3938a972f (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - 過去に何があったのかが､気になります (2018年4月4日 17時) (レス) id: e7a3c43521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衣紋 | 作成日時：2018年2月1日 21時
