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幻影旅団団員であるマチとのディナーは、筒がなく終わった。

終始穏やかに、『あの』幻影旅団とまで言われる面影は見せずに親睦を深めて終わった。


彼女は私にシンパシーを感じている部分があるようだった。

曰く、『どこか私達と似ている』らしい。

私達、とは恐らく幻影旅団である事は間違いないはずだ。

だからこそ帰り際には、他の団員に会わせたいとまで言ってくれた。


…幻影旅団にはなるべく関わるなと父様やゼノ爺様、イル兄にまで言われてるし。

特に団長の、……ナントカさんにはサシで会ったらイル兄に今度こそ閉じ込められたりするかもしれないから会わないけど。


そんなふうに考えながら天空闘技場に向かって歩いていた。

今日は1件の仕事を終え、暇になったのでヒソカにグローブを返してもらいに来た。

やはり、グローブがないとなんとなく調子が出ないのだ。


あれは…キルア?


天空闘技場に足を踏み入れようとした時、ピリピリとした殺気にも似た空気を感じ、視線を彷徨わせた。

その空気を発している正体はキルアで、その顔は今にも人を殺めてしまいそうなもの。


「キルア、良い子だからその感情を心の内に留めようね。」


気配を殺し、彼の大きな青い瞳を手の平で覆い隠す。

一瞬抵抗の意思を見せたが、手の持ち主を察したのだろう、ゆっくりと私に背中を預ける。


「…そう、良い子。殺しはしたくないんだろう?」

「……うん、ありがと、A兄。」


キルアの目を塞いだまま、彼を抱き上げる。

そのまま、肩に彼の目元を押し付けた。


「さあ、その感情を上手に逃してごらん…ゴンと一緒に居たいなら。」


私の言葉に、キルアの身体がピクリと反応する。

恐らく、ゴンの名を聞いてパッと冷静な部分が蘇ったのだろう。


目についたカフェに入り、個室に通してもらう。

向かい通しに座るのではなく、隣にキルアを降ろした。


「うん。まだ少し空気が尖っているけど、冷静さは取り戻せたね。」


彼の被っていた帽子を取って、柔らかい猫っ毛を宥める様に撫でる。

その瞳を伏せている辺り、キルアは恐らく相手を殺そうと頭を回転させていたのだろう。


それもそうだと思う。

キルアの日常には、『言葉で説得する』と言う選択肢の横に『殺して黙らせる』という選択肢が当然のように並んでいる。

日常的に使っていた選択肢を突然取り上げられて、すぐにその環境に順応できるわけもない。


…ここが正念場だ、キルア。

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ゆーな(プロフ) - キルアの甘えたな所とヒソカが何だかんだ優しくて可愛い過ぎる!このお話面白くてハマりました! (2022年1月15日 15時) (レス) id: 83b0960623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2021年10月2日 2時

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