【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ4)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:14,265 hit

44 ページ4

．

「…うげ、兄貴みたいなこと言うなよ…！」

「…冗談だよ。私はそんなに血の気多く無いしね。」

…実際、キルアが念を知らぬまま念能力者と戦うことになったら、相手を秘密裏に『処理』して不戦勝をプレゼントする事になる所だった。

実力差が大きい場合、恐らくキルアはちゃんと自分の命を優先して逃げてくれるだろう。

だが、万が一があってはたまらないので懸念は潰しておくに限るのだ。

「さ、もう遅いから部屋に戻るんだろう？送って行こうか？」

「いーよ、もうガキじゃねーんだから！」

「やだな、子ども扱いじゃなくて私がキルアともう少し一緒にいたいだけだよ。」

「………じゃあ送って。」

私の言葉に少し顔を赤らめたキルアが、肩の辺りの服を掴む。

イル兄や弟達がいる前では私に素直に甘えてくれることはないが、その分知人のいないところでは甘えてくれる。

自分の弟の愛らしさに思わず笑みを浮かべていれば、ポケットの中の携帯が振動した。

「だれ？」

「噂をすればって奴だね。『絶』はできる？」

「…やる。」

携帯に移るヒソカの文字を苦々しい表情で見ながら気配を絶つキルア。

腕で抱えているのにジッと見ていなければ見失うだろうと思えるほどに自然と出来ており、最近念を覚えたばかりとはとてもじゃないが思えない。

『やあ、観に来てくれていたね♦︎』

「随分と楽しそうな試合だったね。暇潰しにはなった？」

『期待したほどじゃ無かったけど♠︎確かに暇潰しにはなったかな。』

必死に息を殺すキルアの頬に唇を触れさせて宥める。

どうやら、試合後のヒソカの興奮度合いの高い声に触発されてしまっているらしい。

『あとキミ、僕の試合中に彼女と何やら楽しそうに喋っていたね…？』

「ああ、マチか。口説かれちゃってね、これから彼女とディナーだよ。」

『いいなぁ、僕は振られちゃった♣︎』

「残念だったね？」

『…あーあ、キミもディナーに誘う予定だったのに。』

「残念でした。…という事で、今夜は行けそうにないからグローブは預かっといて。その内取りに行くから。」

『了解。僕はしばらく予定が空くからまた遊びにおいでよ…夜にね❤︎』

「気が向いたらね。」

そう言って通話を切る。

緊張の糸が切れたのか、くてりと私にもたれかかるキルア。

「よく頑張ったね、電話越しとはいえヒソカに気取られないくらいに成長したんだ。」

「…やっぱ、ヒソカと仲良くすんのやめれば？」