【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ1)

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「ねえ、アンタ。」

今日は、仕事用のグローブを返して貰うために、ヒソカの試合を見に天空闘技場に来た。

相変わらず無茶な試合してるなぁと感想を浮かべた時、背後から声を掛けられる。

試合が始まる前からずっと感じていた視線の持ち主だろう。

「…私と知り合いだったかな？」

話しかけてきたのは、ピンク色の髪を一つに縛った女性。

記憶を探ってみるが見覚えはない。しかし、私が知らずとも知り合いである可能性は捨て切れないのでそう尋ねた。

「アタシと直接知り合いってわけじゃないけど、アンタウチの団長と知り合いの確か…Aよね？」

「…団長、とやらの名前を聞いても？」

「クロロ=ルシルフル。」

聞き覚えはない、が、人を覚える事に置いて自身の記憶力が著しく低下する事を理解していた。

徐に携帯を取り出してメモ機能を検索した。

「…あぁイル兄のお得意様か。確かに何度か私が代わりに任務を受けた事がある…気がする。」

メモ機能には、自分が覚えられないが覚えておかないと支障が出る可能性がある人間の情報が書かれている。

基本的には顔写真と名前と属する組織、私にとって、もしくは私の家族とどんな関係なのかなど、そこそこの情報が記されていた。

クロロと書かれた文字の下には、黒髪をオールバックにした青年の写真。

『幻影旅団』という名の強盗団を率いる団長。イル兄との関係は依頼したりされたりする仲。

イル兄の手が空いてない時に何度か彼の代わりに依頼を受けた事がある。うん…任務内容は覚えてる。

「幻影旅団の名前聞いて忘れるなんて、さすが暗殺一家。度胸座ってんだね。」

「いや、幻影旅団自体は覚えてるよ。ただ私、人に対する物覚えが著しく悪くて。不快にさせたなら、申し訳ない。」

一応、これに関しては自分自身が悪い事を理解しているので下手に出ておく。

一概に負けるとまでは言わないが、こう対峙しているだけでも相当の念の使い手だという事が分かる。

流石に、無傷で勝利、とは言い難いだろう。戦わなくていいのなら、それに越した事はない。

「別に覚えてないからどうだって訳じゃない。私がアンタに興味があったから声を掛けただけ。」

「…もしかして口説かれてる？」

ヒソカの腕が宙に舞ったのを横目に見て、彼女に視線を戻す。

どうやら、余裕が垣間見える表情を浮かべた彼は勝ちを確信しているようだ。

「なっ、そういうことじゃない…！」