【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ12)

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「…マチは私と団長さんを会わせてどうしたかったんだい？」

私が彼らのアジトを出られたのは、すっかり日が上ってからだった。

彼ら一人ひとりの自己紹介を聞けば解放されるかと思ったが、その後に始まったお喋り。

マチと団長さんを含めた数名とにこやかに談笑したものの、笑顔の下ではずっと気を張っていた。

イル兄の弟だとはいえ、ここまで私を引き止める理由がわからなかったからだ。

「ただ会わせたかっただけ、アタシはね。でも皆や団長が話したがる理由もわかる…前に言ったよね、アンタはアタシ達と似てるって。皆もきっとそう感じたんだろうね。」

恐らく、『似てる』という言葉が向けられるのは私だけ。

イル兄も、キルアも似てるという言葉が向けられる事はないだろう。

彼らは大半が流星街という名のスラム出身らしい。

思い当たるとすれば、産みの母親とは思いたくもないあの女の出自であるという所だが…。

イル兄の親である母様もそこの出自であるため、もしかしたら出自には関わらないのかもしれない。

「…特に団長は、アンタを初めて見た時から興味があったみたい。」

「私は彼の興味を引くような言動をしたのかな。」

「さあ。アンタは一言も喋らずにお兄さんの背後に立っていただけだったから。」

多分、マチは嘘をついていない。

だが、団長さんの反応には少し疑問を覚えていた。

覚えていないと言った時のショックを受けたという反応が、たかが依頼を請け負っただけの人間に向けるには大きすぎると思ったからだ。

ただ私は、これを思い出そうとするわけにはいかない…『誓約』に引っ掛かるので。

「…そっか。」

「ねえ、今度また団長に会いに来てよ。アタシだけアンタと会ってたら怒られちゃう。」

「ご招待頂けるなら喜んで…マチが一緒に来ることが条件だけど。」

「いいよ。だから次は団長を忘れないでよ。」

…1ヶ月以内に会えれば覚えていられるかもね。

そう思いながら曖昧な笑みを浮かべれば、苦笑が返ってくる。

そういえば、物覚えの悪さについても団長さんは意味ありげな視線を向けてきていたっけ。

イル兄さえも知らない私の『誓約』の内容を彼が知っているとは到底思えないのだが。

……それとも『誓約』を掲げる前に会ったことが、あったのだろうか。