三十三柱 ページ33
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「刀解…?なにそれ、」
「この本丸の担当である政府のものが言っておりました。『次は刀解だ』と」
顔を真っ青にする彼を見て、やはり刀剣男士様からすれば刀解は許し難いものなのだと再認識する。
それにしても、コンは母屋でその事を告げていないのか。
「…こんのすけが母屋へ行った際に、この話はしておりませんでしたか?」
私の問いに、ふるふると首を横に降る乱 藤四郎様。
「ただ、新しい審神者の提案を持ってきたとだけしか…」
「…そうですか。こちらでも再度確認します。もう一つお伺いしたいことがあるのですが」
「…なに?」
少し警戒するような表情を彼は浮かべる。
その表情に、人に対する恐怖は根強いかと心のどこかで思う。
「結界で刀剣男士の刃を受けた場合、刃に負担がかかるのでしょうか?」
「…相手のこと心配してる場合?」
「というよりも、私が心配すべきなのはその一点のみでございます」
呆れたような顔を向けられたが、表情を変えることはない。
強度を高くした結界で刀を受け止めた瞬間、刀を破壊しましたとなったら本当に笑えない。
「…ダメージは、あるよ。多分だけど」
「そうですか、やはり…今日中に柔軟性を持たせたものを作るより他はないですね」
「でも…刀解となれば話は別だと思う。無闇に斬り殺して刀解になった…なんて、分霊として本霊に顔向けできないから」
目を伏せる乱 藤四郎様。
その瞳は、ひどく憔悴したような色をしていた。
勝手に呼び出して、無体を働いて、傷付けて、望まないやり方で追い出す。
そんな事を神様にしていて、どうして罰が降らないのか。
…いや、罰として審神者達は死んだのか。
神様の罰は、その程度で終わらせることができるものなのか。
違うはずだ。
私が知る罰は、理不尽で、圧倒的で、脅迫じみた…
「…ねぇ、」
「っ、はい。如何なさいましたか?」
「さっきも言ったけど…僕、主にするなら、アナタがいい」
「はい」
「だから、絶対に、死なないで…」
着ていたパーカーの裾を、ちょんと掴まれる。
そんな愛らしい仕草は、彼の容姿にひどく似合っていた。
「…では、私からも一つ」
「なに?」
「私が初めて手入れをする時は乱 藤四郎様を。…そして、傷一つないお姿で笑ってください」
彼は私の言葉に、いまにも泣きそうになりながらも微笑んで、一つ頷いた。
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2019年4月10日 21時