飯田兄弟(飯田 天哉&飯田 天晴)2 ページ5
side 天晴
かかった。
と、思った。
上がりそうになる口角を必死に堪えながら、涙を零す。
「けど、俺の足はもう、」
「私が、なんとかする…！もしなんとかならなかったら、」
…ならなかったら？
「一生、私が天晴さんを支えていくから…！」
「Aに、そんなことはさせられねぇよ…」
「いいの！天晴さんは自分のことだけ考えていて…っ」
ボロボロと涙を零しながら縋るように彼女を見れば、Aは俺を抱きしめた。
壊れ物を触るかのように、酷く優しく。
「…っぅ、っく、」
「泣かないで、天晴さん…っ」
口から溢れるのは、嗚咽ではなく笑い。
流れる涙の意味は、哀愁ではなく喜び。
心を占める感情は、悔恨ではなく歓喜。
…ああ、やっと手に入れた。
ヒーロー殺しに足をやられたのも、今となっては運命だったのかもしれない。
Aが手の内に入るなら、安いものだ。
Aが酷く感化されやすい人間であることは、比較的に早く知った。
そして面倒見がよく、感情的になりやすく、感傷的なものに影響されやすい。
なにより、自分が口に出したことを破った事がない。
俺の動かない足を見て表情を曇らせた瞬間、確信したのだ。
今日、俺たちはAを手に入れる事ができると。
「…私、絶対に諦めないから。天晴さんも、諦めないで」
そう言って出て行くAの後ろ姿を見送る。
足音が遠くなって行くのを確認して素早く電話を掛けた。
『兄さん？うまくいったのかい？』
「ああ。あとはお前に掛かってる…頼むぜ、天哉」
『任せてくれ。なんていったって、俺は兄さんの弟なんだからさ！』
自信に満ちた天哉の声を聞き、通話を切った。
後は、天哉がAに泣き縋るだけだ。
憔悴して行く兄さんを見ていられない。
俺と一緒に兄さんを支えていってほしい。
兄さんを見捨てないでくれ。
…などと天哉が訴えれば、Aは更に深みに嵌っていくのだろう。
私が天晴さんを支えていかなければ、と。
天哉も、Aのことを好いている。
ならばと練りに練ったこの計画は、Aを俺たち兄弟から離れられないようにするためのものだ。
これはその第1段階。
「楽しみだな、A？」
これから、ゆっくりと、じっくりと彼女を絡め取っていくのだ。
さて、計画を練らなければ。
窓の外に目を移す。
そこからは、泣いている天哉を慰めるように抱きしめるAの姿が見えた。
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零桜 - B組の鱗くんの無害（依存型）が見てみたいです！できれば中国語も少し入れてくれませんか､､､？ (8月3日 13時) (
レス) @page22 id: 181796d377 (このIDを非表示/違反報告)
ワァ！ - オリジン組の人達の奴(個人の奴も)が見てみたいデス！ (2021年4月28日 6時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
闇空 - (笑うところ)ってところで本当にわらったらマイパピーからメッチャ心配されましたwwww (2020年4月1日 19時) (レス) id: b30251e94a (このIDを非表示/違反報告)
黄(コウ)(プロフ) - ねじれさんがあることに感動してしまって涙が出てきました。ねじれさんの作品だとかとっても少ないし、こうして短編集でねじれさんが出てくることがあんまりないきがして…。最高でした！ (2019年12月30日 13時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - リクエストでオバホールで調教見てみたいです本当にできたらでいいんでお願いします (2019年5月10日 19時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年9月19日 16時
