死柄木 弔@無害型 ページ18
．
いつもの路地裏に、彼はいる。
くすんだ水色の髪、ひび割れた唇、フード付きの真っ黒なパーカー。
雨が降っていなくても、少し湿ったコンクリートで出来た段差に長い脚を投げ出して座っている。
「とむらくん」
「！…A、今日は早いんだな」
彼の名前は、しがらき とむら。
どういう字を書くのか、聞いたことはあったけど、教えてくれなかった。
声をかけたのが私だと分かると、彼はふにゃりと柔く笑う。
「学校が早く終わって、とむらくんが待ってたら早く来ないとって思ってね」
「…気にしなくたって、良いのに」
「あは、私が早く会いたかっただけだよ！」
とむらくんは、いつもこの場所で私を待っている。
いつからだったか忘れてしまったけど、もう2年は確実に過ぎている気がする。
家にはあまり居たくない私の、唯一の逃げ場所だ。
「とむらくん、いっつもこの場所にいるけど大丈夫なの？」
「なにが？」
「この辺、結構ガラの悪い人とか多いよ？」
「……最近、絡まれたりした？」
彼の唐突な問いには、首を横に降る。
この場所は路地裏を少し歩かなければならないが、私は一度としてそういう人に会ったことはない。
家の近所の人たちは、決して通らないようにしているが、私は未だ無事だ。
とむらくんは、そんな私を見て少しホッとしたように息を吐いた。
「Aに何かあってからじゃ、話にならないからな。なんかあったらすぐ言えよ」
「えー、とむらくん、そんなに細っちいのに強いのー？」
「…さあ？どうだろうな？」
少し妖しく笑う彼の表情にドキッとする。
とむらくんは徐ろに、私の頭を優しく撫でる。
「もう時間だろ、暗くならないうちに帰れよ」
「…うん、また来るね」
「ん、待っててやるよ」
ひらひらと手を振る彼を時折振り返りながら私は家に向かう。
少し重い足取りに、私は憂鬱になる。
とむらくんと別れた後は、いつもそうだった。
＿＿＿＿＿私はもう少し、客観的に考えるべきだったのだ。
なぜ彼は、いつも路地裏にいるのか。
ガラの悪い人がいたとしても飄々としていられるのか。
2年以上も、私の息抜きに付き合ってくれているのか。
考えれば、自ずと分かるはずだった。
例えば私が、『帰りたくない』と零したなら？
きっと彼は、私の腕を引いて闇の中に連れ去ってくれるだろう。
その表情に、いつもの柔い笑みを浮かべて。
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零桜 - B組の鱗くんの無害（依存型）が見てみたいです！できれば中国語も少し入れてくれませんか､､､？ (8月3日 13時) (
レス) @page22 id: 181796d377 (このIDを非表示/違反報告)
ワァ！ - オリジン組の人達の奴(個人の奴も)が見てみたいデス！ (2021年4月28日 6時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
闇空 - (笑うところ)ってところで本当にわらったらマイパピーからメッチャ心配されましたwwww (2020年4月1日 19時) (レス) id: b30251e94a (このIDを非表示/違反報告)
黄(コウ)(プロフ) - ねじれさんがあることに感動してしまって涙が出てきました。ねじれさんの作品だとかとっても少ないし、こうして短編集でねじれさんが出てくることがあんまりないきがして…。最高でした！ (2019年12月30日 13時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - リクエストでオバホールで調教見てみたいです本当にできたらでいいんでお願いします (2019年5月10日 19時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年9月19日 16時
