爆豪 勝己@崇拝型*台詞あり ページ10
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私にひどく優しい人がいる。
コレ欲しいなと思ったら、次の日手渡してくれて。
さりげなくいつも隣でエスコートしてくれて。
嫌なことからは私を庇ってくれて。
「お前のためなら、なんでもできる」
曇りなき真っ赤な瞳で私を見つめて、普段からは想像できないような柔い笑みを浮かべるのだ。
けど、そんな私たちの関係を良く思わない人は一定数居る。
『アイツに騙されている』
『早く離れた方がいい』
『狂ってるよ、アイツ』
そんな風に言ってきた人たちは誰だったか。
話した日から、姿を見かけないから名前などとうに忘れてしまった。
「A、寒くねぇんか?」
「うん、大丈夫。勝己くんがあったかいからね」
私にひどく優しい人がいる。
寒いなと思ったら、自分のしていたマフラーを巻いてくれて。
抱き寄せてくれて。
手を繋いでくれる。
「いつも、ありがとう勝己くん」
「ッハ、当然」
私がそう言うととても嬉しそうに、誇らしげに笑うのだ。
そんな彼が、私に触れることをひどく恐れていることを私は知っている。
今もそうだ。
なにかを言いたげにこちらを伺い見ている。
どうしたの、と笑えば彼は言いづらそうに口を開いた。
「触っても、いいか?」
「いいよって、いつも言ってるのに」
私は決して彼を拒絶したことはない。
なのに、彼は私からの拒絶をひどく恐る。
手袋を外した手が、ゆっくりと伸びる。
ジンジンと冷たい頰に、じんわりと暖かい温度が広がってく。
ふふ、と笑いを零せばビクリと体を震わす勝己くん。
その瞳を見れば、微かな怯えが写っていた。
「俺は…お前のためだったら、なんでもできる」
彼はいつも私にそう言ってくれる。
そして、ほんとうになんでもやってくれる。
「なんだってやってやるよ、だから、」
そこまで言って口を噤んでしまう。
赤い瞳が、私を縋るように見ている。
Aは俺の世界だ。
俺のすべてで、守るべきもの。
「…俺の側にいろ」
いつでも、俺の手の届く範囲に。
いつも、俺が守れるように。
手を伸ばせるように。
触れるように。
「うん」
私が頷けば、ひどく安心したように笑う。
そして壊れ物を扱うかのように私を優しく抱きしめるのだ。
「…お前は俺の、世界だから」
ぼそりと聞こえた声。
その声に、狂信の域に達する色があることを私はよく知っていた。
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零桜 - B組の鱗くんの無害(依存型)が見てみたいです!できれば中国語も少し入れてくれませんか、、、? (8月3日 13時) (レス) @page22 id: 181796d377 (このIDを非表示/違反報告)
ワァ! - オリジン組の人達の奴(個人の奴も)が見てみたいデス! (2021年4月28日 6時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
闇空 - (笑うところ)ってところで本当にわらったらマイパピーからメッチャ心配されましたwwww (2020年4月1日 19時) (レス) id: b30251e94a (このIDを非表示/違反報告)
黄(コウ)(プロフ) - ねじれさんがあることに感動してしまって涙が出てきました。ねじれさんの作品だとかとっても少ないし、こうして短編集でねじれさんが出てくることがあんまりないきがして…。最高でした! (2019年12月30日 13時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - リクエストでオバホールで調教見てみたいです本当にできたらでいいんでお願いします (2019年5月10日 19時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2018年9月19日 16時